【長助3

吾輩は猫である。名前は寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末・雲来末・風来末喰う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子パイポ・パイポ・パイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助である。長いので長助と呼んでくれてかまわない。

そんな吾輩は今、とあるマンションの一室に住んでいる。その部屋の住人は人間ではない。吾輩と同じ猫なのだ。しかもこの部屋にはもう一匹いる。吾輩より先にここにいた一匹だ。そいつの名前は「おす」というらしい。吾輩がここに来た時にはもうその名前だったのだ。まあ、「おす」でもなんでもいいのだがな。「にゃーん!」と、今日もおすが鳴く。どうやら餌の時間が来たようだ。吾輩とおすは台所へと移動する。そしておすは冷蔵庫からエサの入った皿を取り出した。吾輩はその隣にある食器棚の上に置かれている缶詰を見る。そこにある缶詰を開けるのがおすの仕事なのだ。おすはまず缶切りを口にくわえた。そして蓋を開けようとする。だがなかなか開かないようで苦戦しているようであった。そこで吾輩は手助けをしてやることにする。前足を伸ばして缶詰の上にちょこんと乗せたのだ。そうすると簡単に缶詰の蓋が開いた。おすは「ありがとよ、長助」と言い。吾輩は「気にすることはないぞ」と答える。吾輩とおすは顔を見合わせて笑う。やはり同じ猫同士だと言葉を使わなくても意思疎通ができるものだ。

さて、それでは早速食べるとするか……と思ったその時である。突然玄関の方で呼び鈴の音がした。誰か来たようである。「お届け物です」そんな声とともに一人の人間が入ってくる。それは若い女の声だった。どうやら注文していた猫缶が届いたようだ。彼女は吾輩たちの方を見ると「ここに署名か判子をお願いします」と言った。おすは「ご苦労様」と言うように大きく一回だけ鳴いた。吾輩も同じ気持ちだったので同じように鳴いてみる。そして、おすは肉球で印を押した。彼女は「ありがとうございました」と言って去って行った。吾輩たちは再び食事を再開することにした。

しかし、食べている最中にまた玄関で呼び鈴が鳴る。今度は別の人間の来訪のようだ。「こんにちは〜」という若い女の声が聞こえてきた。そして、吾輩たちが食事をしている部屋の扉が開かれる。入ってきたのは二十代前半くらいの女だった。その人間は吾輩たちを見つけると笑顔を浮かべて近づいてくる。そして吾輩たちを撫で始めたのだ。「かわいいねぇ〜」と呟きながら何度も頭を撫でてくる。吾輩としては別に嫌ではなかったのだが、なんだかくすぐったい感じがして落ち着かなかった。だから吾輩は彼女の手から逃れようと体をよじってみた。だが彼女はそれを許してくれなかった。それどころかさらに強く抱きしめられる。そして頬ずりまでされたのだ。そこまでされると流石の吾輩も恥ずかしくなる。吾輩は慌てて逃げ出した。そして床に飛び降りると一目散に逃げて行く。

それからしばらくしておすの元に戻ってきた。おすは吾輩を見て驚いたような表情をする。そしてこう言ったのだ。「お前さん、モテるんだなぁ……」と。吾輩は「そういうわけじゃないと思うけどな」と答えた。するとおすは続けて「だって、あの人。俺には長助と同じように接してこないじゃないか?」と言う。確かに言われてみればそうだな。吾輩はそう思った。それにしてもどうして吾輩だけがこんな扱いを受けたのだろうか? 不思議でならない。吾輩は首を傾げた。

まあ、考えてみても仕方がない。それよりも今は食事の最中だしもう少し食うとしよう。吾輩はおすに向かって「届いた猫缶はまだかニャ?」と尋ねた。おすは「もうちょっと待ってくれ」と答える。仕方がないので吾輩はおすの隣に座って待つことにした。

それから少し時間が経ってからおすは「よし、できたぞ」と鳴いた。どうやらようやく準備ができたようだ。吾輩は「待ちくたびれたぞ」と鳴く。するとおすは「悪いな」と言って笑った。

吾輩はおすから猫缶を受け取ると蓋を開けようとする。だがなかなか開かない。どうやら缶詰を開ける時に使った肉球のせいで蓋が固くなってしまったようだ。吾輩はおすに助けを求める。おすはすぐに吾輩の元にやってきた。そして吾輩の代わりに肉球を使って蓋を開く。おすはそのまま缶詰の中に頭を入れると中身をくわえて取り出した。そして皿の上に置く。それはカツオ節だった。おすはそれをじっと見た後に口の中に入れる。吾輩もそれに続いて食べた。うん、美味いな。これは。とても満足できる味だった。おすの方を見るとおすも幸せそうな顔をしている。どうやらおすもこの食事に満足したらしい。

吾輩たちは食事を終えた。そしておすに「ごちそうさま」と言うように鳴いた。おすは「おう、ご馳走様」と言って笑う。吾輩はおすの前に移動すると丸くなった。そして目を閉じる。おすは吾輩の背中に前足を当ててきた。そして優しく撫で始める。その感触は悪くはなかった。

しばらくするとおすが話しかけてくる。「ところで長助、一つ聞いてもいいか?」とおすが訊いてくる。「なんだ?」と吾輩は返す。おすは「どうしてお前さんは他の猫たちと仲良くしようとしないんだい?」と尋ねてきた。吾輩は「吾輩が他の猫たちに嫌われているわけではない」と答えた。おすは「じゃあ、なんでだ? この家に引っ越してきて以来、ずっと俺以外の猫とは会っていないじゃないか」と言う。確かにその通りではある。吾輩はこの家に来てからは一度たりとも外に出たことがない。

吾輩が黙っているとおすはさらに「何か理由があるのか?」と尋ねる。吾輩はそれに対しては何も答えなかった。おすは吾輩の背中を軽く叩く。「言いたくないなら無理には聞かないさ」と言った。吾輩はその言葉に対して何も言わずにただ目を閉じただけだった。

それからしばらくしておすが立ちあがる気配を感じる。おそらく仕事に行く時間になったのだろう。おすは吾輩に向かって「それじゃあな、長助。俺は会社に行ってくるよ」と言うと玄関に向かって歩き始めた。吾輩は起き上がるとその後ろ姿を見送る。

おすは後ろ足で立ち上がるとドアノブに前足をかける。そして扉を開く。そのまま出て行こうとする。その時、急に振り返ると吾輩に向かって「そういえば今日は新しい友達が来る予定だからよろしくな!」と大きな声で言った。吾輩はおすの言葉に驚く。今まではそんなことは一言も言っていなかったからだ。おすは続けて「きっと、いい奴だと思うから仲良くしてやってくれ」と言ってきた。吾輩は「わかった」とだけ答える。おすはそれを聞くと「頼んだぞ」と言って出ていった。

おすが出ていくと部屋の中には静寂が訪れる。吾輩は部屋の中をぐるっと見渡した。ここには吾輩以外に誰もいない。いつもおすがいるだけだ。吾輩は再び横になると目を閉じる。しばらくすると吾輩は眠気に襲われる。まあ、別に眠る必要もないのだが。それでもこの感覚はとても心地が良い。吾輩はそのまま眠りについた。

どれぐらい時間が経っただろうか。吾輩は誰かの声を聞いて目が覚めた。どうやら先ほどおすが出ていった時に鍵をかけ忘れていたらしく、何者かが部屋に入ってきたらしい。その者は吾輩に近づくと体を撫で始める。どうやら吾輩を起こそうとしていたようだ。だが吾輩は起きるつもりはない。吾輩はその者を無視して再び目を閉じた。

しばらくするとその者が動く気配を感じた。どうやら吾輩から離れてどこかに行ったらしい。吾輩は目を開けて確認する。やはりそこには誰もいなかった。おそらく吾輩が起きなかったので諦めたのだろう。吾輩は再び横になって目を閉じた。

それからまたしばらくして今度は別の声が聞こえてくる。その者も吾輩に近づいてきて体の上に乗ってくる。そして撫で始める。おそらくおすの新しい友達であろう。吾輩はそう思ってその者の相手をすることにした。

しばらく撫でられていると、突然吾輩の背中に乗るとゴロゴロと喉を鳴らし始めた。これは甘えているのだろう。吾輩はそう判断してされるがままにしておくことにした。

その後、吾輩の体の上でその者はごろんと仰向けになる。そして吾輩の顔を見ながら「ニャーン」という鳴き声を上げる。それは「遊ぼう」と言っているようだった。しかし、吾輩は遊ぶ気分ではなかった。吾輩は無視をすることにする。吾輩が何も反応しないのを見て、その者はがっかりしたような顔をすると、起き上がって吾輩から離れていった。どうやら吾輩の気持ちが伝わったようだ。吾輩はホッと一安心した。

その者は吾輩から離れると、部屋の隅っこに移動していく。そこで丸くなると吾輩の方を向いて「ニャオン」と鳴いた。どうやら吾輩の方を見ているようである。一体何がしたいのか。吾輩にはわからなかった。なので吾輩はとりあえず様子をうかがってみることにする。するとその者はその場でジャンプをしたかと思うと吾輩に向かって飛び掛ってきたのだ。吾輩はそれをギリギリでかわすと、そのまま床の上に転がる。吾輩は起き上がるとその者を睨みつけた。「シャーッ」と吾輩は威嚇の声を出す。すると、その者は驚いた表情をして動きを止める。どうやら吾輩に怒られたと思ったようだ。しばらくそのまま動かなかったが、やがて立ち上がると吾輩に向かって「ごめんなさい」と謝った。吾輩は別に怒ってなどいない。ただびっくりしただけである。吾輩はそう思ったのだが、なぜか言葉にすることはできなかった。

吾輩は立ち上がり、その場から去ろうとする。すると、後ろから足音が聞こえてきた。振り返るとそこには先ほどの者が立っていた。吾輩は再び警戒心を強める。その者は何か言いたげにこちらを見ていた。吾輩はじっと見つめ返す。すると、その者は急にしゃがみこむと吾輩に向かって前足を伸ばしてくる。吾輩は反射的にそれを払い除けてしまった。どうやら前足を繋ごうとしていたらしい。だが、吾輩はそんなことをするつもりはなかった。

相手は悲しそうな顔をしながら下を見る。そして再び吾輩をちらりと見ると、立ち去って行った。どうやら嫌われたと思ってしまったようだ。吾輩は別に嫌いではない。むしろ好いている方だと思っている。だが、そのように伝えることはできない。吾輩は仕方なく部屋から出ていった。

吾輩は家の中をぶらつく。だが特にやりたいことがあるわけではない。暇つぶしをしているだけだ。しばらく歩いていると、台所にたどり着く。そこではおすが料理を残しておいてくれたらしく、鍋の中にご飯が残っているのを見つけた。どうやら吾輩のために用意してくれたらしい。吾輩は早速食べることにした。

食べ終わった後、吾輩はふと思い出す。そういえばあの者がどこにいるのかわからないことに気がついた。吾輩は辺りを探すが見当たらない。もしかしたら外に出ているのかもしれないなと吾輩は考えた。吾輩は玄関に向かう。扉を開けると外に出る。少し歩くが、やはり見つからない。仕方ないので家に戻ることにする。

吾輩が再び家に戻ってくるとおすがいた。おすは何やら忙しく動いている。あの者も一緒にいた。どうやら掃除をしていたようだ。吾輩は邪魔にならないよう静かに見守ることにした。しばらくして掃除が終わると、二匹は椅子に上がってくつろぎ始めた。そして話を始める。吾輩にはよく聞こえない部分もあったが、大体は理解できた。それによると、おすの店で働くことになったらしい。これからよろしくと挨拶しているのがわかる。吾輩はそれを聞いてホッとした。もし嫌がっているようであれば、無理矢理にでも引き離さないといけないと考えていたからだ。しかし、その必要はなさそうである。

吾輩はその様子を眺めていると、突然おすが吾輩の方へやってきた。そして「ニャーン」と鳴いて話しかけてくる。どうやら吾輩にも挨拶をしろと言っているようだ。吾輩は面倒だと思いながらも、無視するわけにもいかないので渋々近寄る。吾輩は「ニャオン」と鳴いて応えた。おすが新しい仲間を紹介するというので吾輩はその者の方を向く。その者の名前は「そーすけ」と言うらしい。吾輩は「よろしく」という意味を込めて「ニャン」と言っておく。するとその者は「ニャオン」と答え、頭を下げてきた。礼儀正しい奴だなと吾輩は思う。

その後、吾輩達は色々な話をした。吾輩はその中で、そーすけが吾輩と同じ猫カフェに住んでいることを知ったのだ。吾輩はそのことをおすに伝えると、驚いた様子だった。どうやら知らなかったらしい。吾輩は呆れてしまった。吾輩はちゃんと伝えていたはずだぞと文句を言う。すると、おすは慌てて謝ってきた。確かに言っていたらしい。それなのに忘れてしまうとはどういうことなのかと吾輩は思った。しかし、まあ過ぎたことは仕方がない。吾輩はすぐに許してやった。

それからしばらくすると、吾輩は眠たくなってきた。この時間帯になるといつもこうなる。なので、吾輩はその場から去ろうとした。するとおすが立ち上がって、吾輩についてくるように言う。吾輩はどうせまた掃除をするのだろうと思ってついていくことにした。案の定、おすは吾輩に床を磨けと言い出した。断る理由もないので吾輩は従うことにする。

吾輩は黙々と作業を続ける。そしてようやく終わる頃には夜になっていた。吾輩は疲れたので、もう寝ることにした。おす達も仕事を終えたようで、それぞれ自分の部屋へと戻っていく。吾輩は眠りにつく前に今日あったことを思い返していた。色んなことがあったが、とりあえず無事に終わったことに安心する。吾輩は目を瞑るとすぐに夢の世界へと旅立った。

吾輩が目覚めると既に朝であった。外を見ると太陽が昇っており、辺りは明るい。吾輩は大きな欠伸をしながら伸びをした。まだ少し眠いが、あまり長く眠ると身体が鈍ってしまうため、早く起きなければならない。そう思って起きたのだが……何故か目の前にはそーすけがいた。しかも吾輩の顔を見つめてきている。一体何がしたいのかと吾輩は疑問に思う。まさか昨日のことで何か言いたいことがあるのだろうか。吾輩が「ニャア……」と鳴くと、そーすけも「ニャアン」と答える。どうやらそーすけも同じ考えのようだ。吾輩は仕方なく話を聞くことにする。そーすけの話によると、どうやらそーすけは吾輩のことを気に入ったらしい。吾輩としても別に嫌いではない。むしろ好きだ。吾輩はそんなことを考えながら、もう一度返事をしてやる。すると、そーすけは嬉しそうにして去って行った。吾輩はその姿を見ながら、変な奴だと思った。

吾輩があくびをしていると、突然おすがやってきた。おすは何やら慌てた様子である。吾輩は嫌な予感を感じながらも尋ねる。するとおすは吾輩に頼み事をしてきた。どうやら、そーすけと遊んで欲しいようだ。吾輩は内心面倒臭いと思いながらも、一応了承しておく。するとおすが笑顔で礼を言った後、そーすけを連れてどこかへ行ってしまった。どうやら遊びに行ったようである。吾輩は一人取り残された気分になり、少し寂しかった。

しばらくして、おす達が帰ってきた。どうやらおすはそーすけと楽しく遊ぶことができたようだ。吾輩はそーすけに「ニャー」と鳴いておかえりと言っておいた。そーすけは吾輩を見て「ニャン」と答えてくれた。吾輩はそれに満足すると、再び寝ることにする。おすはそんな吾輩の様子を眺めていた。

吾輩が昼過ぎまで眠っていると、突然部屋の扉が開かれた。吾輩は驚いて目を開ける。そこにはおすの姿があった。どうやら起こしに来たらしい。おすは吾輩が起き上がるのを確認すると、「ご飯の時間だから呼びに来てあげたよ!」と言った。それを聞いた途端、吾輩のお腹が鳴る。おすはそれを聞いて笑うと、すぐに用意してくれた。吾輩はそれを急いで食べる。食べ終わった後は部屋に戻り、また眠りについた。

吾輩が目を覚ますと、既に夕方だった。おす達は仕事を終わらせた後なのか、みんな椅子に上がって休憩している。吾輩もおすに頼んで、自分も混ぜてもらうことにした。吾輩はおすの隣に座って一緒に日向ぼっこをする。おすは吾輩の背中を撫でてくれている。吾輩はとても気持ちが良いので再び眠くなってきた。

しばらくすると、おすは吾輩に話しかけてきた。その内容は吾輩にとって意外なものであった。なんと、吾輩をおす達の店に連れて行ってくれると言うのだ。吾輩は少し驚いたが、せっかくなのでついて行くことにする。おす達に連れられ、吾輩は猫カフェへと向かった。その道中、吾輩はずっと空を見上げていた。何故なら、この世界には吾輩の知っているような星座が一つもなかったからである。これはどういうことかと考えていると、いつの間にか猫カフェへと到着していた。

吾輩は店内に入ると、まずは匂いを確認した。そして安全であることを確かめると、早速中に入っていく。おすは吾輩の後を追ってきた。吾輩は店員に挨拶して席に着く。その後、そーすけが吾輩の前に座った。他の客も次々と入ってくる。吾輩はその様子を観察することにした。吾輩が見つめていると、一人の男が入ってきた。男は辺りを見回した後、そーすけの前に座ると「こいつをお願いします」と言って何か注文したようだ。吾輩はその言葉に聞き覚えがある気がしたが、思い出せなかった。

しばらくして、そーすけが目の前に置かれた皿から食べ物を食べた。それを見ていた男の顔つきが変わる。どうやら気に入らなかったようだ。そーすけは再び食事を始める。今度は美味しかったのか、先ほどよりも早く食べ終えた。そーすけはまだ物足りないようで、再び食事を始める。しかし、それもすぐに終わった。

猫カフェ

それから少し時間が経った頃、そーすけの元に新しい料理が届いた。それは吾輩の大好物である唐揚げであった。しかも山盛りだ。そーすけは嬉しそうに食べ始める。だがすぐに終わってしまったようだ。そーすけは少し残念そうな顔をする。すると、そこに新たな唐揚げが置かれた。吾輩の分である。そーすけは喜んで食べ始めた。どうやら気に入ったようである。

吾輩も食事をしようと思った時、突然「ニャ〜」という声が聞こえた。吾輩は鳴き声の主を見るため振り返る。そこには吾輩と同じくらいの大きさの黒猫がいた。吾輩がその猫に見とれていると、そいつは吾輩に近づいてきて、吾輩の頭の上に乗ってきた。そして吾輩に向かって鳴き続ける。どうやら仲間だと認識されたらしい。吾輩は突然の出来事に驚きつつも、とりあえず受け入れることにする。そのまま黒猫と一緒に食事をすることになった。

吾輩は唐揚げを食べ終えると、そろそろ帰ろうと思い、立ち上がる。すると、今まで吾輩の頭の上にいた黒猫が飛び降り、吾輩の前に立った。吾輩が不思議に思っていると、そいつは突然喋り出す。吾輩はそれを聞いて驚くが、何とか平静を保つことに成功した。そいつの話によると、吾輩はこの店の看板猫で、名前は『ごま吉』と言うそうだ。吾輩は自分の名前がすでにあることに驚いた。吾輩が戸惑っていると、黒猫は続けて話しかけてくる。吾輩のことを気に入ったらしく、このままここに残って欲しいと言っている。吾輩は迷ったが、せっかくなので残ることにした。吾輩が了承したことを伝えると、ごま吉はとても喜んでいた。吾輩はしばらくこの店に滞在することになりそうである。

(了)



inserted by FC2 system