【でぶでぶ1

吾輩は猫である。名前はまだない。

そんな吾輩は今、でぶでぶでぶ肉、でぶ肉、でぶ肉、でぶ肉、肉肉肉肉、でぶでぶでぶ肉に囲まれておるのじゃ。このでぶでぶな奴が、吾輩を捕らえたのだ。「うわああああん」突然泣き声を上げながら、でぶでぶが吾輩に覆いかぶさってきた。何をするかと思えば、顔をべろべろ舐めてくる。やめんか!臭いし汚い!今度は腹を揉み始めた。やめいと言うのがわからんのか⁉ 貴様もでぶの仲間入りさせてやろうか!吾輩の怒りを察したのか、他の仲間達も一斉に騒ぎ出した。そして我先にと吾輩に飛びかかってきた。何匹ものでぶでぶに押しつぶされ、吾輩は身動きが取れなくなった。くそっ!こうなったら最後の手段だ! 吾輩は爪を立て、でぶどもの顔を引っ掻いた。でぶどもが悲鳴を上げた。ざまあみろ! しかしでぶでぶ共は怯むことなく、再び吾輩の上に乗っかってきた。もう駄目かと思ったその時、救世主が現れた。一際大きなでぶが、吾輩を助けてくれたのだ。そのでぶは他のでぶよりも大きく、貫禄があった。こいつがリーダー格に違いない。助かったぞ、礼を言う。だが吾輩の言葉がわかるはずがない。そう思っていたのだが、なんとそのでぶは、吾輩に向かって話しかけてきたではないか。「助けてくれてありがとう。お前のおかげで助かったよ」「ニャオ〜ン♪」どうやら通じたようだ。流石はリーダー格だ。頭が良い。吾輩はこの恩を忘れぬだろう。

それから吾輩達は、でぶでぶ達の村で暮らすことになった。どうやら吾輩は群れのリーダーに選ばれたらしい。まぁいい。吾輩にはわかっている。これはただの偶然ではないということを。運命に導かれているのだということを。吾輩は必ず偉大な存在になるであろう。その暁には、貴様達にも恩恵を与えよう。感謝するがいい。

今日もまた、吾輩の元にでぶでぶが集まってくる。「ニャオン♪」吾輩の声を聞いたでぶでぶ達が、吾輩に駆け寄ってくる。「ニャオーン!」暑苦しいが吾輩は我慢する。何故ならこれが吾輩の仕事だからだ。「ニャーン!」吾輩は雄叫びを上げる。するとでぶでぶ達が吾輩に群がり始める。この光景は毎日変わらない。まるで儀式のようなものだ。「ニャアオーーン!」吾輩はまた叫ぶ。するとでぶでぶ達は、狂ったように踊り出す。これもいつも通りだ。

こうして吾輩は、でぶでぶ達と共に幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。



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