【人工生命体236

吾輩は猫型人工生命体である。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めてロボットというものを見た。しかもあとで聞くとそれはゴルどんというロボット中で一番怖ろしいものであったそうだ。今でもよく憶えている。……ゴルどんの手は大きく、指が長く、関節があってゴツゴツしていた。その手で頭をスリスリされると大変気持がよかった。この時から吾輩はロボットが好きになった。

ところでゴルどんはなぜ猫を掴まえると鍋に入れてグツグツ煮るのか?……これはゴルどんに聞いてみないとわからない。しかし今度会ったら必ず聞こうと思っている。なぜならば吾輩はまだ死にたくないからである。



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