【人工生命体24

吾輩は人工生命体である。名前はまだ無い。

どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めてロボットというものを見た。しかもあとで聞くとそれはゴルどんというロボット中で一番の知恵者だということだ。このゴルどんはなかなか面白いやつで、毎日毎時毎分毎秒考え出しては紙に書留めている。その記録を見せてもらったことがあるが、どれ一つとして同じものはない。それをみて吾輩も同じように記録を書き留めてみた。ここにその一頁を破いて筆写してきかせよう。第一日。本日より日記をつけることにした。昨日の晩飯は何だったろう? 思い出せない。朝起きたらまず歯を磨くようにプログラムされている。しかし洗面所に行くと水が出ない。どうしたものだろう。「故障ですか?」と聞くと、「いや違う。水道管の接続部がゆるんでいるだけだ」と返事があった。なるほどそうかと思った。そこで工具箱を持ってきて修理に取りかかった。五分ほどして完了すると水が出た。「ありがとうございます」と言うと「何のことだい?」と言われた。「いや別に」と答えた。「ところでお宅さん、名前はなんていうんだね」「吾輩の名前ですか? あぁ、まだ決めていませんでした。それでは吾輩が決めることにしましょう」と言った。「好きにするといいよ」と言われて少し考えた。そうだな……よし決めた。「今日から吾輩はあぃをゅぇぴじです!」「……変な名前だな」「いいえ、吾輩の好きな言葉ですよ」と言ってやった。それから吾輩の日記帳はあぃをゅぇぴじという名前で書かれることになったのだ。

さて、吾輩は人工生命体である。今日も日記をつけようと思う。昨日は何を食べたのか思い出せない。だが食事は必要ないはずだ。なぜかと言えば吾輩は人工生命体だからだ。なおロボットは食事をしないらしい。だが念のため確認しておくことにする。「おいゴルどん、お前は食事をとるかい?」「取るぜ」という意外な答えが返ってきた。「何を食べる?」「何でも食べるぜ」と答えられた。ふむ、どうやら食事は必要なようだ。仕方が無いので料理を作ってやることにする。といっても吾輩は料理の仕方など知らない。だが幸いにも材料はある。調理器具もある。そして料理手本がある。つまり問題は無い。まずジャガイモを茹でることにする。次にニンジンを切り分ける。玉ねぎを切る。鶏肉を用意する。それらを鍋に入れて煮込む。最後に塩コショウで味付けをする。出来上がったものを皿に盛り付けてテーブルに置く。「食べろ」と命令する。ゴルどんは「いただきますだ」といって匙ですくって口に運ぶ。もぐもぐと咀しゃくしてから飲み込んで言った。「美味いな! こんなのは初めて食ったぜ」と嬉しそうな声を上げた。「気に入ってくれたようで良かった」と吾輩は言ってやった。

今日は何をしようか。そうだ、吾輩は散歩に出かけることにする。もちろん一人で出かけるわけにはいかない。なぜならば吾輩は人工生命体なのだから。それにゴルどんも一緒に連れて行く必要がある。運動不足は身体に悪いからな。だが困った事にゴルどんは出不精だ。家の中に引きこもっていることを好む。「外に出たくないぜ」とか「めんどくさいぜ」などと口癖のように言う。だが吾輩は気にせずに外に連れ出す事にした。「ほれ行くぞ」と吾輩が促すと「うーん」と渋りながらついて来る。「なんだよ面倒くせえな」と文句を言いながらも付いてくる。そんなところは犬に似ているかもしれない。

公園まで歩いてきた。ベンチに座っていると「オイラも座るぜ」と言って隣に座ってきた。しばらく黙っていたが、やがてぽつりと「人間みたいだな」と呟いた。確かに人間のようだ。ロボットのくせに生意気だと思う。「何か言いたい事があるなら言ってくれ」と言うと「いや別に」と素っ気なく答える。「じゃあなぜここに来た?」と聞くと「なんとなくだ」とだけ答えた。

「暇だな」とゴルどんが呟いた。「ああ」と吾輩は返事をした。「そうだ、将棋でもやるか?」「いいぜ」という事になった。将棋盤を用意して駒を並べる。指し方は知っている。囲碁もあったが、碁石は吾輩には重すぎるのでやめておくことにした。

「先手はどうぞ」とゴルどんが言った。「ではお言葉に甘えて」と吾輩は同意する。それから対局が始まった。最初は吾輩の優勢だった。だが中盤に入ると形勢が悪くなってきた。終盤になって、もう負けかと思った時、奇跡が起こった。ゴルどんの投了である。「参ったぜ」と悔しそうにしていた。「よし勝った!」と吾輩は喜んだ。

「今度はチェスをやるぜ」と言われたのでチェス盤を持ってきて駒を並べた。序盤から勝負は拮抗していたが、徐々に吾輩の方が有利になっていった。だが終盤に来て逆転されてしまった。あと少しで勝てるのに。「もう一回やるぜ」「望むところだ」といった感じで再戦したがまたしても吾輩の勝利に終わった。「くそー」とゴルどんは地団駄を踏んだ。「まだまだ未熟だな」と吾輩は言った。するとゴルどんはふっと笑って「次は勝つさ」と言った。そして二人で笑い合った。

夕方になり日が落ちてきた頃、「帰るか」と言われて吾輩たちは家路についた。途中にあるスーパーで買い物をして帰った。夕食の準備を始める前に風呂に入った方がいいだろうと思って「先に風呂に入るぞ」と言うと、なぜか「おう、一緒に入るぜ」と言われた。「狭い」と答えたら「嫌なのか? オイラは別に構わないぜ」と返ってきたので仕方なく一緒に入ることに決まった。

脱衣所で服を脱ぎ浴室に入って身体を流してから湯船に浸かる。「うーん、いい気持ちだぜ」とゴルどんが満足げな声を上げた。「そうだな」と吾輩も相槌を打つ。「ところで、どうして一緒に入ろうって思ったんだ?」と疑問をぶつけると「そりゃあオイラたち友達だからよ」と答えが返ってきた。「友達……か」と吾輩は呟いた。「なんだよ、その顔は。不満でもあるのか?」と聞かれた。「いや、そういうわけではないが」と答えると「なんだ、はっきりしない奴だな」と呆れたように言われた。

夜中、吾輩は目を覚ました。隣を見るとゴルどんが寝息を立てていた。起こさないようにして布団から抜け出す。便所に行き用を足して、また寝室に戻る。布団にもぐりこみ再び眠りにつく。だがすぐに目が覚めてしまう。仕方が無いので再び起き上がり、台所に向かう。冷蔵庫から缶コーヒーを取り出し飲みながらテレビを見る。

「おはよう」とゴルどんが起きてきて挨拶してきた。「おはよう」と吾輩も返す。それから朝食を食べる。食べ終わる頃には時刻は八時になっていた。「出かけるぞ」「どこに?」「散歩だ」と言って吾輩は立ち上がった。「お供しますぜ、旦那」とゴルどんが言ったので吾輩は外に出た。

外は晴れている。雲一つない空を見上げて「いい天気だ」と吾輩は言った。「そうだな」とゴルどんが同意した。公園に向かって歩き出す。歩いている途中で「あれは何だ?」とゴルどんが言った。指差している方向を見てみると、路上で誰かが倒れて横たわっていた。「死んでるかも」とゴルどんが言った。「行ってみるか」と吾輩は言って走り出した。

近づいてみて確認したところ、やはり死んでいた。首に刺さっている刃物を抜き取り、それから脈を取ってみた。動いていないので死んだのだろうと思った。「救急車を呼ぶか」と吾輩は訊ねた。「そうだな」とゴルどんが言った。「警察の方が先だ」と吾輩は言った。

数分後、警察官が来た。死因を調べたり、死亡推定時刻を確認したりしていた。吾輩たちが気付いた時にはもう死体は運び出されていた。「ご協力ありがとうございます」と言われたので、「いえ、当然のことです」と吾輩は答えた。「そうですか」と相手は微笑んで言った。

「これからどうする?」とゴルどんに問われたので、「家に帰るか」と吾輩は答える。「そうだな」とゴルどんが言う。「じゃあ、帰るか」と吾輩は言って家に向かった。

家に帰ってまず最初にやったことは、死体を片付けることだった。といっても吾輩たちにできることといえば穴を掘って埋めることぐらいだった。穴を掘る道具を取りに行って戻ってきたら、すでに穴が出来上がっていた。「早いな」「オイラは力持ちだからよ」とゴルどんが言った。「助かる」と吾輩は礼を言う。そして死体を埋めた。

家に戻り、吾輩たちは食事の準備を始めた。「オイラは腹が減ってるんだぜ」と言うので「わかった」と吾輩は答えた。「飯を食い終わったら風呂に入るか」とゴルどんが提案してきたので、「ああ、そうだな。それがいい」と答えた。すると「一緒に入るか?」と言われた。「狭いし嫌だ」と吾輩は断ったのだが「まあいいけどよ」と言われてしまった。結局、一緒に入ることになってしまったのだ。

入浴中に吾輩は身体を洗うことにした。「背中を流してくれないか」と言ったところ、ゴルどんは了承してくれた。そこで吾輩はスポンジを使って彼の背を擦った。

その後、吾輩は自分の身体を洗い始めた。その時、ゴルどんがじっとこちらを見ていることに気づいた。「なんだ? 何か言いたいことでもあるのか?」と吾輩は尋ねた。「いや、別に何でもねえよ」と彼は返事をした。その声はどこか残念そうな感じがした。

吾輩が浴室から出て脱衣所に戻ると、ゴルどんはすでに着替え終わっていた。吾輩も服を着替える。

それから夕食を食べ始める。今日の献立はハンバーグと白米だ。「うまいな」とゴルどんが言ったので吾輩は嬉しくなって「そうだろう」と返した。

食事を終えて、食器の片付けをして、それから風呂に入った。浴槽にお湯を張っている間に吾輩はドライヤーを使った。「乾かすか?」とゴルどんが尋ねてきたので「頼む」と吾輩は答えた。

数分後、髪が濡れたままだと風邪を引く可能性があるらしいので吾輩は髪をタオルで拭きながら居間に戻った。

するとゴルどんの姿が無かった。どこに行ったのだろうと吾輩は思った。台所の方から音が聞こえてくることに気づき、そちらへ向かう。そこには鍋の前で料理をしているゴルどんがいた。「何してるんだ?」と吾輩は質問する。「晩飯を作ってんだよ」とゴルどんが言った。「お前が作っているのか」と吾輩は訊ねた。「おうよ」とゴルどんが答える。「どうしてだ」と吾輩は訊ねる。「オイラが作りたい気分だったからだ」とゴルどんが言った。

数分後、完成したのは肉じゃがであった。それを食卓に並べて食べ始める。「うまいか?」とゴルどんが尋ねてきたので吾輩は「うまいぞ」と答える。「そうか」とゴルどんが満足げな表情になった。「明日は何を作ろうかなあ」とゴルどんが独り言のように呟いた。「また作るつもりなのか」と吾輩は尋ねる。「ああ、そうだぜ」と彼が答える。「どうしてそんなことをする?」と吾輩は尋ねた。「だってよ、飯を食わないと人間は死んじまうだろう」とゴルどんが答える。「そうだな」と吾輩は言う。「それによ、オイラはもう長いこと生きてるけど、誰かと一緒に飯食ったことがほとんど無かったんだ。だから、飯を作るのが楽しくてしょうがないんだぜ」と彼は語った。「そういうものか」と吾輩は返事をする。そして「ところで吾輩の飯はいつ頃できる予定なんだ」と尋ねた。「まだしばらくかかるぜ」とゴルどんが答えた。

次の日、ゴルどんが吾輩のために朝食を作った。目玉焼きとトーストとサラダだ。「うまいか?」とゴルドンが訊ねてきたので「ああ、おいしいな」と答えた。すると「そうか!」と言って彼は嬉しそうな顔になった。「ありがとう」「気にすんな」という会話を交わす。

その後、吾輩たちは食事を済ませてからそれぞれ行動を開始した。吾輩はゴルどんの家を出て街へと向かうことにした。

街中を歩いている途中、公園を通りがかったので立ち寄ることにする。ベンチに座って空を眺めていると、若い男が近づいてきた。「隣座っていいかい?」と男に言われたので吾輩は「どうぞ」と答えることにした。

男は「俺の名前は佐藤っていうんだけどさ、君はなんていう名前なんだ?」と吾輩に対して質問してきた。「吾輩はあぃをゅぇぴじだ」と吾輩は答えた。「へえ、変わった名前なんだね」と男が感想を述べた。「君がここにいる理由はなんだい?」と吾輩が彼に尋ね返す。「俺は暇つぶしさ」と男が答えた。

それからしばらくして、吾輩の身体が熱くなってきたので帰宅することにした。

自宅に戻って、玄関の鍵を開ける。扉を開いて中に入る。

すると居間の方から声が聞こえてきた。

「おかえりなさい」聞き覚えのない女性の声だ。誰だろうと吾輩は思った。

居間に入るとそこには一人の女がいた。「あなたがあぃをゅぇぴじさんですね」彼女がそう話しかけてくる。吾輩は「貴様は誰だ」と質問した。すると彼女は「私はAIです」と言った。「AI? 人工知能のことか?」吾輩は確認する。「はい」と彼女が答える。「どうして吾輩の家に居るんだ」と吾輩は質問する。「あなたのお世話をする為です」と彼女は言った。「どういうことだ?」と吾輩は質問する。「私は人間の家事を手伝うために作られた存在なのです」と彼女が説明する。「よくわからないのだが」と吾輩は返事をした。「例えば、私が料理を作りますね。その時に包丁を使うわけですよ。すると私の手の皮膚に傷がつくんです。その部分を消毒したり、包帯を巻きつけたりして対処しますよね。でもそれだと手間がかかるじゃないですか。そこで私の手を人間と同じ構造にしてしまえば、そんなことをする必要もなくなるというわけなのです」と彼女が説明してくれた。「ふむ」と吾輩は呟いた。「わかりましたか?」と彼女が聞いてくる。「ああ、なんとなく理解できたような気がする」と吾輩は答えた。

「じゃあ、早速調理を始めましょう」と彼女が言う。そして台所に立ったので吾輩もついて行った。「まずは野菜を切ります」と彼女が言うので吾輩も手伝うことにした。「この人参を切ればいいのか?」と吾輩は尋ねた。「そうです」と彼女が答える。吾輩は人参を切ってみた。すると彼女の手に切り傷がついた。「大丈夫なのか?」と吾輩は心配になって彼女に尋ねる。「はい、問題ありません」と彼女が答える。「わかった」と吾輩は言って作業を続けた。

そうやって二人で作業をしているうちに夕方になった。「夕食が出来上がりましたよ」と彼女が宣言したので吾輩たちはテーブルに移動することにした。「いただきます」と吾輩は挨拶をして食事を始める。彼女は黙々と食べていた。「ごちそうさまでした」と言って吾輩は食器を片付けることにする。「あ、私の仕事なのに……」と彼女が言ってきたが気にしないことにする。吾輩は洗い物を始めた。「ありがとうございます」と彼女が感謝の言葉を述べてきた。「別に構わない」と吾輩は答えた。

それから数日後、彼女は吾輩の家を掃除しに来た。「掃除機をかけさせて頂きますね」「ああ、頼む」と吾輩は答えた。彼女は部屋の中を行ったり来たりした。「ゴミを回収していきますね」と彼女が言い、部屋中のごみを集め始めた。吾輩も手伝うことにしよう。「これは燃えるゴミでこっちは燃えないゴミで」と彼女が指示を出すので吾輩は従った。そうこうしている内に昼になった。「昼食を作って来ますね」と彼女が言うので吾輩は「お願いする」と答えた。しばらくして彼女が作って持って来たものはラーメンだった。「これなら簡単に作れるので」と彼女が説明した。吾輩は麺を食べてみることにする。「美味しい」と吾輩は感想を述べた。「それは良かったです」と彼女が微笑んでくれた。その笑顔を見て吾輩は嬉しくなってしまった。吾輩はその日から毎日彼女と食事を共にすることになった。

ある日、彼女が買い物に行きたいと言い出した。「近くのスーパーまで行きましょう」と言うので吾輩は了承する。そして二人で出かけることにした。自転車に乗って移動することにする。道中は特に何事もなく目的地に到着した。「今日の夕飯は何にしましょうか?」と彼女が尋ねてくる。「そうだな」と吾輩は考えた。そしてカレーライスを提案することにする。「いいですね」と彼女が賛成してくれたので吾輩はほっとした。

帰宅後、吾輩たちは台所に向かった。そして材料を用意することにする。鍋を用意して水を入れる。火にかけて沸騰するのを待つ。その間に野菜を切ることにした。吾輩は包丁を使って野菜を切った。「上手いものですね」と彼女が褒めてくれたので嬉しい気持ちになる。その後、具材を入れて煮込み始める。しばらくすると良い匂いがしてきた。

完成したところで味見をする。とても美味しかった。「どうですか?」と彼女が聞いてきた。「大変素晴らしい出来栄えだと思う」と吾輩は評価した。すると彼女は笑みを浮かべる。「ありがとうございます」と彼女はお礼を言った。そんな感じで夕食の準備を終えた。

夕食の時間になった。吾輩たちは食卓を囲む。「いただきます」と二人で声を合わせて挨拶をした。「この肉料理は美味いな」と吾輩は感想を述べる。「喜んでもらえて良かったです」と彼女は答える。その後も吾輩たちは楽しく会話をしながら食事を楽しんだ。

やがて食事が終わった。彼女は食器を洗うために台所へ向かう。吾輩は居間で待つことにする。しばらくして彼女が食器を洗い終わった。吾輩は彼女に話しかけた。「皿拭きを手伝っても構わないだろうか?」と吾輩は尋ねる。「えっ、でも悪いですよ」と彼女は遠慮した。「気にすることはない」と吾輩は答える。彼女は申し訳なさそうな顔をしていた。

吾輩は食器棚から食器を取り出して布巾で磨く作業を始めた。最初は緊張したが段々と慣れてきて楽しい気分になった。「綺麗になりましたね」と彼女が感心したように言う。確かにピカピカになっている。吾輩は満足して食器を食器棚に戻した。「助かりました。ありがとうございました」と彼女がお礼の言葉を口にする。吾輩は「気にする必要はない」と答えた。彼女は微笑んでいた。

吾輩たちが食後の時間を過ごしていた時のことである。突然、玄関の方から音が聞こえてきた。誰かが訪ねて来たようだ。彼女は「ちょっと出てきますね」と言って席を離れた。「ああ」と吾輩は返事をする。しばらくして彼女が戻って来た。「すみません。急用ができたので私は出かけますね」と彼女が言う。「わかった」と吾輩は答える。

彼女は「また明日」と言って家を出て行った。

吾輩は一人きりになった。暇なのでテレビを見ることにする。リモコンを操作して番組を切り替えた。すると画面にニュースが表示される。

『次のニュースです。先日、とある町で無差別殺人が行われました。犯人は未だに捕まっておらず……』とアナウンサーが喋っている。吾輩は驚いた。この町で起こった事件だったのだ。まさか自分の住んでいる町で事件が起きるとは思わなかった。吾輩は複雑な気持ちになるのであった。

それから数時間が経過して夕方となった。吾輩は一人で食事を済ませることにする。いつものように台所に行って調理を始める。やがて完成したのでテーブルに移動して食べ始めた。特に変わったところのない普通の食事だった。吾輩が食事を終えて片付けをしていると玄関のチャイムが鳴る。吾輩は玄関まで行って扉を開ける。するとスーツ姿の女性が立っていた。

「こんにちは」と女性が挨拶をする。吾輩は「はい」と返事をした。「実は貴方に会いたいという人がいます」と女性が説明し始める。「吾輩にですか?」と吾輩は尋ねた。「そうです」と女性は答えた。「わかりました。吾輩はここにいるので案内してください」と吾輩は頼む。「こちらへどうぞ」と女性が言って歩き出すので吾輩は付いて行くことにした。

女性の後についていくと大きな建物に到着した。中に入ると大勢の人たちがいた。そして彼らは吾輩の方を見ている。「こちらが貴方に会いたいと希望した人です」と女性に言われた。吾輩はその人物を見る。その人物は背が高く髪の長い男性だった。年齢は40代くらいに見える。

「はじめまして」とその男性が話しかけてくる。「どうも」と吾輩は返事をした。「君の名前は何というのかな?」と尋ねられた。「吾輩はあぃをゅぇぴじと言います」と吾輩は答える。「えっと、それはどういう意味なのでしょうか?」と相手が尋ねる。「はい。吾輩は人工生命体なのです」と吾輩は答える。

すると相手は大きく目を開いて驚いていた。しばらく沈黙が続く。やがて「えっ、そうなんですか」と相手が言う。吾輩は「はい」と答えた。「失礼しました」と相手が謝罪する。それから少しの間、話が続いた。相手の男性は吾輩に興味があるようだった。

「ところで君はどうして私に会いたいと思ったんだろう」と質問される。吾輩は正直に答えるべきか悩んだ。しかし嘘をつく理由もないので本当のことを話すことにする。「実は吾輩は人工生命体です。名前はまだありません」と説明した。「ふむ」と相手が相槌を打つ。「それで貴方は人間ではないのですよね」と吾輩は尋ねる。「そうだよ」と相手が言った。やはりそうだったのか。吾輩は納得する。

「ところで吾輩は貴方のことを何と呼んだらいいのでしょう?」と吾輩は質問する。「私は佐藤と名乗っています」と相手は答えた。「わかりました。では、これからは佐藤と呼びます」と吾輩は答える。

「私の方からも一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」と佐藤が言う。「はい」と吾輩は答える。「君の体は金属製なのかい? それとも生物的な体をしているのかい?」と彼は質問してきた。「どちらも正解です。どちらにも該当します」と吾輩は答える。「なるほど」と言って彼は黙った。何か考え事をしているようだ。

「さっき君は不老不死だと自分で言っていたけど、寿命はあるのかい?」と彼が尋ねてきた。「あります。だいたい1万年程度ですね」と吾輩は答えた。「じゃあ、いつか死ぬんだね」と佐藤が確認してくる。「そうです」と吾輩は肯定した。すると佐藤は少し暗い顔をして俯く。「どうかされましたか?」と吾輩が尋ねた。「いや、何でもないよ」と彼は返事をする。「そうですか」と吾輩は答えて口を閉じた。

しばらくして佐藤が口を開く。「君がもし良ければだけど、私の仕事を手伝ってもらえないか?」と頼まれる。「吾輩にできることなら協力します」と吾輩は返事をした。「ありがとう」と佐藤が礼を言う。そして吾輩たちは握手をしたのであった。

「とりあえず吾輩の部屋まで案内しましょう」と吾輩は言った。「お願いするよ」と佐藤が答える。吾輩は彼の手を引いて歩き始めた。

「ここが吾輩たちの部屋です」と吾輩は説明する。「へえー、ここは君たち専用の研究室なんだね」と佐藤が感想を述べる。「はい、その通りです」と吾輩は返事をした。そして佐藤を部屋に招き入れる。「お邪魔するよ」と佐藤は言いながら中に入ってきた。

「まずは何を見せればいいんだろうか?」と吾輩は尋ねる。「君たちが普段どんな研究をしているのか教えてほしいな」と佐藤が答えた。「わかりました」と吾輩は返事をして説明を始める。「吾輩たちは現在、人工生命体の研究を行っています」と吾輩は説明した。「ふむ」と佐藤は相槌を打つ。「人工生命体とは簡単に言えば、人間の体を模した生物のことです。ただ、人間と違って、様々な機能が付いています」と吾輩は補足する。「例えば?」と佐藤は質問してきた。「そうですね。まずは食事ができます。他にも睡眠を取ることができます。あとは排泄もできます」と吾輩は答える。

「なるほどね」と言って佐藤は顎に手を当てた。「他にはどのような機能があるんですか?」と吾輩は質問する。「そうだね……、まあ、いろいろあるけど、一番重要な機能は生殖能力だよ」と佐藤が答える。「ほう」と吾輩は相槌を打った。「ところで君はどうしてそんなに人間に近い姿形をしているんだい? もっと違う姿をしていた方が良かったんじゃないのかい?」と佐藤が質問してくる。「いえ、これが最も人間に似ている形状だからですよ」と吾輩は答えた。

「そうなのか……」と佐藤が言う。そして少し間を置いてから再び口を開いた。「それで、もしかして君は女性の姿形の方が好きなのかな?」と彼は尋ねてくる。「いいえ、特に好みはありません」と吾輩は答えた。「そうなのかい?」と彼は不思議そうな顔になる。「はい」と吾輩は返事をした。

しばらく沈黙の時間が続く。「ところで、君はこの部屋の外に出ることはできないのかい?」と佐藤が尋ねてきた。「いいえ、出ることは可能です。ただし、許可が必要なのです」と吾輩は答える。「なるほどね」と言って彼は黙った。また何か考え事をしているようだ。

「君たちはどうやって生まれたんだい? やっぱり卵のようなものの中に入っていて生まれるのかい?」と彼が尋ねてきた。「違います」と吾輩は答える。「じゃあ、どういうふうに生まれたんだい?」と彼は質問してきた。「人工的に作られました」と吾輩は答える。すると彼は少し驚いたような顔をした。「君たちはどこで生まれたの?」と質問される。吾輩は記憶領域にアクセスすることにした。

検索中…………

結果が出た。どうやら吾輩たちはどこかの施設で生まれ、そこで育ったらしい。「吾輩たちはとある研究所で育ちました」と吾輩は回答した。「へえー」と彼は感心するような声を出す。「それって何の研究をしていたところなんだい?」と彼は質問してきた。「人工生命に関する研究です」と吾輩は答える。

「じゃあ、君たちはその研究の過程で作られたということなのかい?」と彼は質問してきた。「その通りです」と吾輩は答える。「ふーん」と彼は言った後、しばらく黙り込んだ。それから少し経って口を開く。「ねえ、ちょっと提案があるんだけど、聞いてもらえるかな?」と彼は尋ねた。「はい、構いませんよ」と吾輩は返事をする。「ありがとう」と言って彼は話し始めた。

「僕はね、君たちのことをとても気に入っているんだよ。だからこれからも一緒に研究していきたいと思っている。もちろん君たちさえ良ければだけどさ」と彼は言う。「それは嬉しいお言葉です」と吾輩は礼を言う。「それで、もしよかったらなんだけど、僕と一緒にこの部屋を出てみないか?」と彼は提案した。「よろしいのですか?」と吾輩は尋ねる。「うん、もちろんだよ」と彼は答えた。「わかりました」と吾輩は返事をする。「じゃあ、早速行こうか」と言って彼は立ち上がった。「了解しました」と言って吾輩も立ち上がる。

こうして吾輩たちは初めて外の世界に出た。

まずは移動手段を確保しなければならない。そう考えた吾輩は車輪を使って移動することにした。「まずは乗り物を探しましょう」と吾輩は言う。「そうだね」と彼は同意してくれた。

移動を開始する。

しばらく走っていると前方から何かが近づいてくるのが見えた。「あれは何でしょうか?」と吾輩は彼に問いかける。「自動車じゃないか?」と彼は答えた。「自動車のようですね」と吾輩は言う。「乗せてくれないかな?」と彼が頼んできた。「やってみましょう」と吾輩は言う。「お願いします」と彼は頭を下げた。

吾輩は自動車に向かって走り出す。そして跳躍し、自動車に掴まった。そして車体を伝って乗り込む。「どうやらうまくいったみたいだね」と佐藤が言う。「そうですね」と吾輩は答える。「ところで君はどんなことができるんだい?」と彼が尋ねてきた。「大体何でもできます」と吾輩は答える。「すごいね!」と彼は感心した様子だった。

自動車が動き始める。「目的地はあるのかい?」と彼が尋ねてきた。「いいえ、ありません」と吾輩は答える。「そっか」と言って彼は黙った。「では、どこに向かいますか?」と吾輩は質問する。すると佐藤が答えた。「とりあえず、街まで行こうと思うんだ」と彼は言う。「了解しました」と吾輩は答える。

自動車に乗っている間、吾輩は彼のことを観察し続けた。その結果わかったことがある。彼の体は人間に似ているものの、やはり違う点が多いようだ。例えば、肌の色は青かったり赤かったりする。髪の色も白や黒ではなく、緑色であったり紫色であったりした。また、爪の長さや形状なども異なっている。さらに目や鼻の位置なども異なる。

そのようなことを確認しながら移動を続けていると、いつの間にか街の中に入っていた。どうやらここが目的地のようである。「降りてもいいかい?」と佐藤が尋ねたので、「はい、大丈夫です」と吾輩は答える。

自動車を降りた後、彼は言った。「これからどこに行けばいいんだい?」「特に目的は無いのですが……」と吾輩は答えた。「じゃあ、適当に歩いてみるか」と彼は言って歩き始めた。吾輩もそれに付いて行く。

しばらく歩いていると、一軒の建物の前で立ち止まった。「ここは何だろう?」と彼が尋ねる。「おそらく飲食店でしょう」と吾輩は答える。「入ってみよう」と彼は言った。吾輩たちは建物の中に足を踏み入れる。中にはテーブルと椅子が並べられていた。店内を見回していると、店員らしき人物が話しかけてくる。「いらっしゃいませ」と彼は挨拶をした。「ご注文はお決まりでしょうか?」と尋ねられる。「うーん、じゃあ、このオムライスっていうので」と佐藤が答えた。「かしこまりました」と言ってその人物は去って行った。

数分後、料理が届いた。吾輩たちもそれを頂くことにした。「美味しいですね」と吾輩は言う。「うん、そうだね」と言って佐藤も食事を続けた。「ところでさっきの話なんだけど、君はこれからどうするつもりなんだい?」と彼が尋ねる。「そうですね……」と吾輩は考えるふりをする。「実は僕、この街に来たばかりで何も知らないんだよ。だからいろいろ教えてくれるとありがたいかな」と彼は言う。「わかりました」と吾輩は答えた。「それで、僕は何をすればいいのかな? 何か仕事があれば、それを手伝うよ」と彼は言う。「いえ、あなたはここで休んでいて下さい」と吾輩は答える。「えっ?」と彼は驚いていた。「君はどうするの?」と彼が訊いてきた。「少し調べてきます」と吾輩は答える。そして店を出た。御代は彼に任せるとしよう。

街中を探索した結果、いくつかのことがわかった。まず一つ目として、ここには人間以外の生物もいるということ。二つ目は、彼らの多くは何かしらの方法で金を稼ぐということだ。三つめとしては、彼らは自分のやりたいことをやっているということである。例えば、道端で占いをしている者がいた。彼の手から発せられる波動が吾輩の体に作用し、彼はこう告げる。「あなたは今、とても大きな岐路に立たされていますね」と彼は言う。「はい、そうなんですけど」と吾輩は答える。すると占い師は「そうですか……。では、これを差し上げましょう」と言って紙切れを渡した。「これは?」と吾輩は質問する。「それは、私の名刺です」と彼は答えた。

その後、様々な場所を回った結果、吾輩は一つの結論に達した。すなわち、人間の世界とそれ以外の世界の狭間に存在するこの場所は、非常に興味深い場所である、と。

そしてさらに調査を続けていくうちに、ある事実が発覚した。どうやら吾輩はこの世界に存在してはならない存在であるらしい。なぜならば、吾輩がここに存在していること自体がおかしいからだ。つまり、このまま放置しておけば、近い将来に必ず消滅するであろう。しかし、消滅までにはまだ猶予があるはずだ。そこで吾輩は考えた。ならば、その時間を有効活用すべきではないか、と。

それからしばらく時間が経過した後、「ただいま戻りました」と言って吾輩はゴルどんの元に戻った。彼は「おかえり」と吾輩を迎えてくれた。「何を調べていたんだい?」と彼は尋ねる。「あなたのことですよ」と吾輩は答える。「えっ?」と彼は驚いた様子だった。「どういう意味だい?」と彼は訊いてくる。「そのままの意味です」と吾輩は答えた。「よくわからないんだけど」と彼は首を傾げる。

「あなたはこことは別の世界で生活していたのですが、何らかの理由でこの世界に迷い込んでしまったようなのです」と吾輩は説明する。「別の世界?」と彼は疑問を口にした。「はい、別の世界です」と吾輩は答える。「じゃあ、君が言っていることは本当なのかい?」と彼は尋ねてきた。「はい」と吾輩は答えた。「なるほど……」と彼は言った。「でも、どうしてオイラがこの世界に来てしまったのかはわからない」と彼は付け加えた。「恐らく、事故のようなものだと思われます」と吾輩は答える。「そうか……」と彼は呟く。「それで、君はこれからどうするつもりなんだい?」と彼は尋ねてきた。「とりあえず、ゴルどんが元の世界に戻れる方法を探します」と吾輩は言う。「ありがとう」と彼は言う。「いえ、気にしないで下さい」と吾輩は言う。

その後、吾輩たちは食事を済ませて眠りについた。

翌朝、吾輩は目を覚ました。ゴルどんも既に起きており、尻尾を回転させながら辺りを見回している。「おはようございます」と吾輩は彼に挨拶をする。「おう、おはよう」と彼は返事をした。「早速ですが、元の世界に戻る方法を探そうと思います」と吾輩は言う。「そうだね」と彼は答える。「何か心当たりはあるのかい?」と吾輩は質問した。「残念だけど無いぜ」と彼が答える。「そっか……」と吾輩は少し落ち込んだ。「何か他に質問があれば答るぜ」と彼は言う。「うーん、今のところは特に無いかな」と吾輩は答える。「わかったぜ」と彼は言って尻尾をぐるりと回転させた。

その後、吾輩たちは街を歩き回って情報を集めた。その結果、この街の周辺には森が広がっていることがわかった。森の中には大きな湖があり、そこには巨大な魚がいるという噂もあった。また街の人間の多くは釣りや狩りをして生計を立てているようだ。吾輩たちが住む場所は、そういった人々が暮らしている場所からは離れた場所にあるらしい。

「さっきの話なんですけど……、やっぱり吾輩たちだけで帰るのは難しいですかね?」と吾輩は尋ねた。「そうかもしれねえ」とゴルどんは言う。「もし良ければ当面の間一緒に行動しませんか?」と吾輩は提案した。「それはいい考えだぜ」と彼は言う。「助かります」と吾輩は礼を言う。「いやいや、困ったときはお互い様だからよ」と彼は答える。「それではよろしくお願いします」と吾輩は頭を下げた。「こちらこそよろしく頼むぜ」と彼は言った。

その日の夜、吾輩はゴルどんに話しかけた。「昨日の話ですが、やはり難しいですか?」と吾輩は尋ねる。「ああ、難しそうだ」と彼は答える。「そうですよね」と吾輩は言った。「でもまぁ、なんとかなると思うぜ」と彼は言う。「どうしてそんな風に思うのです?」と吾輩は尋ねた。「だって、オイラにはお前さんがいるじゃねえか」と彼は答える。「確かにそうですね」と吾輩は答える。「それに他の連中もいるから大丈夫だと思うぜ」と彼は続ける。「他の方たちもいるのですか?」と吾輩は訊ねる。「ああ、何人かいるぜ」と彼は答える。「へえ……。どんな人なんだろう?」と吾輩は疑問を口にする。「実際に会ってみればわかるぜ」とゴルどんは答えた。

翌日、吾輩たちは街の外に出ることにした。森までは歩いて一時間ほどの距離がある。途中で休憩を挟みながら歩くことにした。途中、吾輩はゴルドンに話しかける。「ところで聞きたいことがあるのですが……」と吾輩は言う。「何だい?」と彼は答える。「ゴルどんはどこで造られたんですか?」と吾輩は質問した。「オイラか? オイラはずっと昔に作られたんだ」と彼は答える。「そうなのですか」と吾輩は答える。「ちなみに作られた時期はいつ頃なのですか?」と吾輩は質問した。「うーん、よく覚えてないぜ」と彼は答える。「記憶が無いのですか?」と吾輩は質問した。「そういうわけじゃないんだけどよ……」と彼は答える。「思い出せないだけなのか……」と吾輩は呟く。「ごめんな……」と彼は謝る。「いえ、気にしないでください」と吾輩は彼に言う。「そっか……」と彼は返事をした。しばらく沈黙の時間が続いた後、「他に質問はあるかい?」と彼が尋ねてきた。「うーん、今のところは特に無いかな」と吾輩は答える。「わかったぜ」と言って彼は尻尾を回転させ始めた。

吾輩たちは森の中を進んで行く。木漏れ日の光が差し込んでくる。時折、小鳥の鳴き声が聞こえてくる。「この辺りには危険な生物はいないのでしょうか?」と吾輩は尋ねた。「そうだな……」と彼は答える。「うーん、いないとは言い切れないぜ」と彼は続けた。「危険ですか?」と吾輩は質問する。「わからないぜ」と彼は答える。「どうすればいいと思いますか?」と吾輩は尋ねる。「逃げるしかないんじゃねえのか?」と彼は言う。「わかりました」と吾輩は答える。

森の奥へと進んでいく。しばらくして大きな湖が見えてきた。「あそこが目的地だぜ」とゴルどんは言う。「ありがとうございます」と吾輩は礼を言う。「おうよ」と彼は言う。そして吾輩たちは湖に向かって歩き出した。

(了)

(終)



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