【人工生命体400

吾輩は猫型人工生命体である。名前はまだ無い。だが犬型ロボットに名前を問われたので用意することにした。「今日から吾輩は〝あぃをゅぇぴじ〟である」と尻尾をピンと立てた。

このとき吾輩は始めてロボットというものを見たのだが、あとで聞くとそれはゴルどんという犬型ロボット中でもっとも強力なものであったそうだ。

またゴルどんには可愛い女の子がいると聞いたので、吾輩はぜひ一度会いたいと思ったのである。そんなわけで吾輩は都内の家を離れ、ネオン煌めく大都会へと向かい、そこを目指したのだった。

吾輩はその途中で緑色の卵のようなものと遭遇したが、こいつはあろうことか口から火を放つ怪物であった。だがゴルどんの体当たりによって危機を脱するとその隙に逃げ出すことに成功した。そこから先はよく覚えていない。気がつくと吾輩は倒れており、瀕死の状態となっていたのだ。吾輩が「ああ、ここでおしまいなのか」と思ったその時である。目の前に謎めいた仮面を付けた老人が現れた。

「お前を助けてやろう」と老人は吾輩に言ったので、吾輩は死ぬのも退屈だし、悲惨な状態で放置されるくらいならと思い頷いたのである。

だがその時の吾輩は自分が何の人工生命体かも分からない状態であり、自分の姿すらも自覚できていなかったのであった。ただ、なんとなく腹が減っていたことだけは感じていたので、近くにあるカレーパンを貪り食った。それで吾輩は一旦、息を吹き返すこととなったが、いずれこの体が完全なものになるであろうことを願い、猫のように鳴いてみた。すると口から炎が漏れた。「ニャーオ」だ。そうして吾輩は生まれて初めて言葉を使って鳴き声をあげたのである。

さてカレーパンを食べきったら元気満々になったので吾輩は歩き出し大都会を目指したのである。途中なんだかよくわからない場所があったが気にせず通りすがりの女の子に向かって「あぃをゅぇぴじだ!」と叫んでみた。吾輩にはやましい気持ちはなかった。ただ自分の正体が知りたくてたまらなかったのだ。つまり自分はなんのために生まれてきて何をすれば良いのかとそんな問いに答えが欲しいと思い歩いていたのである。そんな吾輩だった。

(終わり)

注意事項:これは小説でありフィクションです。実在する人物・団体等とは関係ありませんし、現実の猫の話とも関係ありませんので誤解しないようにしてください! わかった方はわかったわぁ〜! などと言ってくだされば幸いです(笑)。それでは良い猫人生を送ることができますよう心より願い、失礼いたします!(あぃをゅぇぴじより)



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