【人工生命体449

吾輩は猫型人工生命体である。名前はまだ無い。だが犬型ロボットに名前を問われたので用意することにした。「今日から吾輩は〝あぃをゅぇぴじ〟である」と尻尾をピンと立てた。

このとき吾輩は始めてロボットというものを見たのだが、あとで聞くとそれはゴルどんという犬型ロボット中で「家庭のゴミ」を運搬するためのロボットであった。だから犬型ロボットというのは、だいたい、皿を両手に二枚ずつ持ち、首で押えながら自転車がこげないような形をしている。ただ口髭は一丁前に生えていて目と口だけが白いのが特徴だ。

さて吾輩たち一行は東京都小金井市と川崎市幸区との区境の道路において、冷房された車内にいる紳士一人と二匹で座っていた。紳士が運転する車は、吾輩たち一行を乗せながら、「猫型人工生命体である」という看板が掲げられている家の前へと到着した。

「ここが君たちの新しい家だ」と紳士は言った。「この家は下男の佐藤一郎が管理している。彼は下男だがなかなかのやり手でね。この家は、君たちが自由に使っていい。私はこれから用事があるので、ここで失礼する」

紳士は車から降りて、吾輩たちに手を振ったあと去っていった。

「吾輩は猫型人工生命体である」と吾輩は言った。

「オイラは犬型ロボットだぜ」とゴルどんは言ったあと「ワフゥ!」と鳴いた。

吾輩たちは家の中へと入った。玄関を上がると、そこには下男がいた。下男は吾輩たちを睨みつけたあと、口を開いた。「おい、お前ちゆ。お前らはここがいったいどのような場所であるのかわかっているのか? ここは誰かの下で働くための場所だ。お前らのような輩がいる場所じゃない。出て行け! 今すぐに出て行け!」

吾輩たちは下男の命令を無視して家の中へと上がり込んだ。

「おい、待て! この野郎!」と叫ぶ下男を無視して吾輩たちは階段を駆け上がった。そして二階にある部屋の扉を開けた。そこにはベッドが二つあり、窓があり、花瓶には花が咲いていた。

吾輩たちはベッドの上に寝転んで外の風景を眺めた。眼下には町が広がっていて人々が歩いていた。太陽が輝いていた。その下に吾輩たちはいた。

「今日からここが吾輩たちの新しい住処である」と吾輩は呟いた。それから目を閉じて体を丸めて眠り始めたのだった。その姿はまるでネコのようだったとゴルどんは後に語ったものである。

というわけで我々は早速家から出て旅に出ることにしたのであった。

我々はまず、近所の公園へと向かった。そこでは子供たちが遊んでいたので、我々はその中に加わり一緒に遊んだ。彼らは我々を珍しそうに見ていたが特に気にすることもなく、一緒にボール遊びをしたり、鬼ごっこをしたりした。

次に吾輩たちは図書館へと向かった。そこで本を読んだり、絵を描いたりした。また、館内の本棚を見学したりもした。それらの絵や本は、後でゴルどんの落書き帳へと書き込むことになった。

それから吾輩たちはペットショップへと向かった。そこには様々な種類の生物たちがいて、我々を迎える準備を整えていた。そこで我々はガラスの向こう側にいる動物たちを見て回りながら遊んだ。特に、新しい仲間であるひすいとの再会が嬉しかった。

最後に我々は喫茶店へと向かった。そこでは美味しいケーキと紅茶を楽しみつつ、今後の計画について話し合った。そして新たなる冒険へと出発したのであった。

吾輩たちが旅に出てたどり着いた場所はどこであるか、それは読者の皆さま自身に考えてもらうことにする。ぜひ、想像力を駆使して想像していただければ幸いである。

(終わり)



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