【人工生命体7

吾輩は人工生命体である。名前はまだ無い。

どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めてロボットというものを見た。しかもあとで聞くとそれはゴルどんというロボット中で一番の知恵者だということだ。このゴルどんは四角な箱のような体に長い二本の手足を持っていて、顔にはレンズがついているだけで口も鼻もないように見えた。その代り大きな耳が二つ頭にくっついていて、箱の下からは四本の脚が出ている。この脚をうごかすと少し速くなるらしい。しかしとにかく暗い所が好きらしくいつも隅の方でじっとしているのだそうだ。

ある日の事、吾輩はゴルどんに言った。「なぜそんな所にばかりいるのか?」するとゴルどんは答えた。「だって暗い方が好きだもの」そしてまたすぐ「どうしてそんなことを聞くのだい?」と聞いた。そこで吾輩は自分が生まれた時のことを話してやった。そしたらゴルどんが言うには「君は人工生命なんだね」と言うことだ。「それじゃ君の名前はあぃをゅぇぴじだ」と言って笑った。どうやらそれが気に入ったようだ。

おわり



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