【桃太郎21

注意:長い。支離滅裂多い。

昔々、ある所に、お爺さんとお婆さんがありました。毎日、お爺さんは山へ柴刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。

ある日、お婆さんがいつものように川へ行くと桃が流れていました。「おや、今日は珍しいものが流れているね」お婆さんはそう言って、その桃を切り開きました。すると中から赤ん坊が現れました。赤ん坊は拾って家に連れて帰りました。しかし、桃から生まれた子供など聞いたことがないとお爺さんとお婆さんは困り果ててしまいました。仕方なく、二人は赤子を桃として育てることにしました。

赤子は成長し、元気な少年になりました。ある日のこと、少年が森へ行き薪を集めていると一羽の大きな雉に出会いました。「こんにちは。私は桃太郎と言います。あなたの頭に止まってもよろしいですか?」「ああ、構わんよ」雉は答えた。「ありがとうございます。失礼します」桃太郎と名乗るその青年は雉男の頭の上に飛び乗るとそこに座り込みました。

「ねえ、君の名前は何というの?」「俺か? 俺は猿彦だ」「じゃあ、猿彦さん! 君の頭の上はとても居心地が良いですね!」桃太郎が言いました。「そうかい? そんなこと言われたのは初めてだよ」猿彦は少し照れ臭そうに言いました。

しばらく二人の間には沈黙が訪れました。すると、それに耐えきれなかったのか猿彦が口を開きました。「お前はどこから来たんだい?」「私ですか? 私はずっと遠くの方にある国から来たんですよ」「ほう、どの辺りだい?」「えっと……、私の故郷はここから遥か遠い所ですよ」桃太郎は少し考えるような素振りを見せてから言いました。「一体どれくらい遠いんだろうなぁ……」猿彦は何気なく呟いただけだったのですが、桃太郎には何か思うことがあったようでした。

再び二人の間に訪れた静寂を破ったのは桃太郎でした。「あのー、猿彦さん。君は私が怖くないんですか?」「怖い? どうしてだ?」「だって、私はこんな見た目ですし、それに桃太郎と名乗っていますから。大抵の人は私が鬼退治をしに来たと思うはずなんですけど……。まあ、無理もないですよね。鬼ヶ島へ鬼を倒しに行くと言ったら誰もが皆、私を英雄扱いするんですから。でも、あなたはちがう。だから不思議なんです。何故なんでしょう?」桃太郎は疑問を口にしました。すると猿彦が言いました。「お前からは危険な感じが全くしないんだよ。まるで何も悪いことをしていないみたいだ。それが理由じゃないかな?」

「ふむ、そうなのかもしれませんね」桃太郎は納得したように言いました。そして、彼は自分の腰に着けていた巾着袋を手に取り中に入っていた物を取り出しました。それはとても綺麗な刀でした。「猿彦さん、この刀に見覚えありませんか?」「ああ、確かどこかで見たことがある気がするが……」猿彦は思い出そうと首を捻りますがなかなか思い出せないようです。

「これは昔、鬼ヶ島に行った時に貰ったものなんですよ。これをくれた鬼は、私を殺さずに見逃してくれたんです。鬼ヶ島は平和で穏やかだった。そこで暮らす人達も争いを好まない人ばかりでした。そんな場所があったなんて知りませんでしたよ」桃太郎は懐かしむように言いました。

「俺もいつか行ってみたいな」猿彦は桃太郎の話を聞いてそう言った後、「んっ?」と小さく声を上げました。「どうしました?」と桃太郎が訊ねると、猿彦は自分の頭を指差してこう言いました。「なんか止まったぞ」「えっ?」桃太郎は驚いて猿彦の頭を見ました。そこには、一羽の大きな鳥の姿がありました。

「あっ、雉男さんじゃないですか」桃太郎は嬉しそうに言いました。「久しぶりだな」と、雉男は言いました。「おい、雉男。お前、いつの間に俺たちについて来たんだ?」と猿彦は不思議そうに尋ねました。「桃太郎と一緒に行動しようと思ったら、ここに辿り着いたんだ」と雉男が答えました。「はあ、なるほどな。相変わらずお前はよく分からん奴だな」猿彦は少し呆れた様子で言いました。

桃太郎が突然立ち上がりました。「さて、そろそろ行きましょうか」と桃太郎は言って歩き始めました。その後に続いて猿彦と雉男もついていきます。三人は森を抜けて、町へ行きました。

「この町には知り合いがいるんですよ」桃太郎はそう言って一軒の店に入って行きました。「いらっしゃい」と中から女の声が聞こえました。「おお、桃太郎ではないか。また会いに来てくれたのか」そう言いながら店の奥から出てきたのは、長い白髪に口髭を生やした老人でした。「はい、そうです。お久しぶりですね」桃太郎は笑顔で言いました。

「桃太郎よ、お前が連れている者達は誰じゃ?」と老人は言いました。「彼らは私の家来ですよ」桃太郎はそう言うと、腰から刀を抜き放ち老人の首に当てました。「お前が町長か?」桃太郎が低い声で言います。「なんじゃ? わしを殺すつもりか?」老人は落ち着いた口調で言いました。「私は今から鬼を倒しに行きます。ですが、貴方を殺してしまっては意味がない。だから、質問に答えてください。貴方は町長か?」桃太郎はもう一度同じことを聞きました。「いかつい顔をしているが、これでも一応は町長をやっておるわい」と老人は笑いながら言いました。「では、早速鬼ヶ島へ出発しましょう」桃太郎はそう言うと、刀を収めました。

「待ってくれ。まだ準備ができていない」と、町長は言いました。「そういえば、お前達は鬼ヶ島へ行くと言っていたな。なら、この武器を持っていけ。きっと役に立つはずだ」そう言いながら彼は壁に立て掛けられていた一本の剣を取りました。それは、赤黒い鞘に収められた長剣でした。「これは、この世で最も硬いと言われる金属でできているのじゃ。名前は〝アダマンタイト〟と言う」「ほう、それは凄いな」桃太郎は感心したように言いました。「これは、かつて世界を救った英雄が持つとされた伝説の聖剣なのじゃよ」と、町長は自慢げに言いました。「ふむ、そんなものが本当に存在するとは驚きだな」と、猿彦は言いました。「だが、これは私が持っていても宝の持ち腐れだ。そこで、お前達に預けようと思うのだがどうだろうか?」と、町長は提案しました。「いいだろう」桃太郎はあっさりと了承しました。「ただし、条件がある。もし、鬼ヶ島で私達が鬼に敗れた時はこの剣で私達を殺してくれ」と桃太郎は言いました。「承知した」と、町長は言いました。

「よし、それでは出発するぞ」桃太郎が号令をかけました。三人は船に乗り込んで鬼ヶ島を目指しました。その途中、海に浮かぶ島が幾つか見えました。「あれは何ですか?」桃太郎は船の舵を取る船長に尋ねました。「ああ、あの島はどれも鬼ヶ島と呼ばれている。中には恐ろしい怪物が住んでいると噂されている」と、船長は言いました。「ふーん、そうなんですね」と、桃太郎は言いました。「さて、もうすぐ着くぞ」と、船長は前方を指し示しながら言いました。見ると、前方には確かに大きな陸地が見えました。

船を下りた桃太郎一行は、険しい山道を進んで行きます。しばらくすると、そこには巨大な城が建っていました。「ここが鬼ヶ島か?」と、猿彦は不思議そうに尋ねました。「いや、ここは鬼ヶ島の城下町だ」と、桃太郎は答えました。「ところで、桃太郎よ。お前はどうやって鬼を倒すつもりなんだ?」と、猿彦は疑問を口にします。「勿論、正面突破だ」と、桃太郎は自信満々に答えました。「おいおい、いくらなんでも無謀すぎるだろ」と、猿彦は呆れた様子で言いました。「大丈夫ですよ。いざとなったら俺が何とかしてみせます」と、雉男は言いました。「おお、頼もしい言葉だな」と、猿彦は言いました。「とりあえず、町の中で情報収集をしましょう」と、桃太郎は言いました。三人は町の中を歩いて回りました。しかし、なかなか有力な情報は手に入りません。「やはり、町の中に鬼はいないようだな」と、桃太郎は言いました。「仕方ない。一旦引き返そう」と、猿彦は言いました。その時でした。町の上空に突如として大きな穴が開きました。そこから、大量の何かが落下していきました。「な、何が起こったんだ⁉」猿彦は困惑しています。「あの穴は一体……」桃太郎は冷静に呟きます。「見に行ってみるしかないですね」雉男がそう言った時、「ちょっと待ってください!」と、桃太郎は呼び止めました。「何だよ?」と、猿彦は言いました。「私の推測に過ぎないのですが……、あの穴から出てきたのは恐らく鬼ヶ島にいるはずの鬼です」「鬼? 鬼ヶ島の鬼なのか?」と、猿彦は聞き返しました。「はい。恐らくはそうだと思います」と、桃太郎は答えました。「ならば、鬼ヶ島へ行けば鬼がいるという事か?」と、猿彦は尋ねました。「恐らく」と、桃太郎は答えました。「では、鬼ヶ島へ行こう」と、猿彦は言いました。

三人は再び船で鬼ヶ島へ向かいました。そして、辿り着いた鬼ヶ島は酷い有様になっていました。建物は倒壊し、至る所に血の跡が残されています。「これは一体どういうことだ?」と、猿彦は言いました。「分かりません。とにかく先へ進みましょう」と、桃太郎は言いました。三人が進んでいくと、やがて巨大な城の前まで辿り着きました。「これは間違いなく鬼の棲家だな」と、猿彦は言いました。「ええ、間違いないでしょう」と、桃太郎は言いました。「よし、行くぞ」と、猿彦は言いました。「はい」と、桃太郎は言いました。「了解」と、雉男も言いました。三人は扉を開き、中へと入っていきます。「ようこそ、我が城へ」と、何者かの声が響き渡りました。声の主の方を見ると、そこには一匹の鬼がいました。「お前達がこの町を襲撃したのか?」と、桃太郎は尋ねました。「その通りだ」と、鬼は言いました。「何故そんなことをした?」と、桃太郎は尋ねました。「人間達がこの島に鬼が住むという噂を流したからだ。だから、この私が直々に手を下しに来たのだ」と、鬼は言いました。「成る程、そういうことだったのか」と、桃太郎は言いました。「だが、お前達がこの私と戦うとは身のほど知らずにも程がある」と、鬼は言いました。「確かに貴方はとても強い。でも、俺は負けられないんです」と、桃太郎は言いました。「そうか。なら、力づくで倒させて貰うぞ」と、鬼は言いました。「望むところだ」と、桃太郎は言いました。「犬、猿、雉よ。下がっていろ」と、桃太郎は言いました。「俺達も戦うぞ」と、猿彦は言いました。「いえ、ここは俺一人で戦わせてください」と、桃太郎は言いました。「桃太郎一人に任せるのは流石に危険じゃないか?」と、猿彦は言いました。「心配はいらないさ」と、雉男は言いました。「桃太郎さんには何か考えがあるのでしょう」と、雉男は続けました。「分かった。お前を信じてみよう」と、猿彦は言いました。「ありがとうございます」と、桃太郎は言いました。「何をごちゃごちゃ話しているんだ?」と、鬼は言いました。「何でもありません。すぐに終わらせます」と、桃太郎は言いました。「お前如きがこの私に勝てると思っているのか?」と、鬼は言いました。「勿論です」と、桃太郎は言いました。「お前に恨みはないが、ここで死んでもらう」と、鬼は言いました。「やれるものならやってみろ」と、桃太郎は言いました。

鬼ヶ島は酷い有様になっていました。建物は倒壊し、至る所に血の跡が残されています。

桃太郎と鬼の戦いが始まりました。桃太郎は素早い動きで鬼を翻弄しようとしますが、鬼はその攻撃を全て回避しました。桃太郎は諦めずに何度も攻撃を仕掛けていきますが、鬼は余裕の表情を浮かべながらそれを避け続けます。すると、桃太郎は急に立ち止まり、「そこだ!」と言いました。しかし、そこに鬼の姿はなく、桃太郎の背後に回っていました。「馬鹿め! 死ね!」と、鬼は叫びました。桃太郎は鬼の攻撃を受けてその場に倒れ込みました。「これで終わりだ!」と、鬼は言いました。「まだだ!」と、桃太郎は立ち上がりました。「しぶとい奴だ!」と、鬼は言いました。「これで倒れてくれ!」と、桃太郎は言いました。桃太郎の手から衝撃波が発生し、鬼を吹き飛ばしました。「何だと⁉」と、鬼は言いました。「どうだ!」と、桃太郎は言いました。「まだまだ!」と、鬼は起き上がりました。「今度はこちらからいくぞ!」と、鬼は言いました。

桃太郎は鬼の動きを見切り、攻撃をかわそうと試みましたが失敗し、鬼に掴まれてしまいました。「しまった……!」と、桃太郎は言いました。「このまま握り潰してやる」と、鬼は言いました。「ぐっ……」と、桃太郎は苦しそうな声を出しました。「さようなら」と、鬼は言い桃太郎を握り潰しました。桃太郎は死んでしまいました。

「桃太郎さん‼」と、猿彦は泣き叫んでいます。「くそっ……!」と、雉男は悔しがっています。そして、鬼は勝ち誇った笑みを浮かべています。「私の勝利だな」と、鬼は言いました。「ああ、そうだな」と、桃太郎の声が響き渡りました。「お前はまだ生きているのか?」と、鬼は言いました。「当たり前だ」と、桃太郎は言いました。「何故だ? 私は確かにお前を殺したはずだ」と、鬼は言いました。「お前は一つ勘違いをしている」と、桃太郎は言いました。「どういうことだ?」と、鬼は言いました。「俺の特技は知っているか?」と、桃太郎は言いました。「いや、知らない」と、鬼は言いました。「俺の特技の名前は『不死身』だ」と、桃太郎は言いました。「なんだと?」と、鬼は言いました。「この世には決して死ぬことのない者がいることを知っているか?」と、桃太郎は言いました。「まさかお前がその一人だというのか?」と、鬼は言いました。「その通りだ」と、桃太郎は言いました。「信じられない」と、鬼は言いました。「まあ、無理もない」と、桃太郎は言いました。「だが、俺は本当に不死身なんだ」と、桃太郎は言いました。「そんなはずはない。現にお前は今死んだじゃないか」と、鬼は言いました。「それは間違いだ。俺は一度死んで生き返っただけだ」と、桃太郎は言いました。「馬鹿な」と、鬼は言いました。「証拠を見せてやる」と、桃太郎は言いました。「何をするつもりだ?」と、鬼は言いました。「見ていろ」と、桃太郎は言いました。「俺はお前の攻撃を何度受けても平気だっただろう」と、桃太郎は言いました。「確かにそうだったが、それがどうしたというのだ」と、鬼は言いました。「思い出せ。お前が最初に攻撃してきた時のことを」と、桃太郎は言いました。「最初に攻撃した時……⁉」と、鬼は言いました。「まさか!」と、猿彦も言いました。「そうだ。あの時、俺はわざと攻撃を受け、油断したところで反撃したんだ」と、桃太郎は言いました。「しかし、お前は不死身のはずだ。何故だ?」と、鬼は言いました。「俺が死ななかった理由を教えてやろう。お前の攻撃に殺意がなかったからだ」と、桃太郎は言いました。「なに……⁉」と、鬼は言いました。「考えてみれば当然のことだよな。鬼が人間を殺す理由は金品を奪うためだからな」と、桃太郎は言いました。「どうして分かったんだ⁉」と、鬼は言いました。「お前の行動には無駄が多かったからな」と、桃太郎は言いました。「嘘だろ……」と、猿彦は呟きました。「残念ながら本当だ」と、桃太郎は言いました。「さっきまで戦っていた時は殺意があったから、その時は攻撃を避けられたんだと思う」と、桃太郎は言いました。「それじゃあ、今は……?」と、猿彦は言いました。「ああ、今も殺意はないよ」と、桃太郎は言いました。「でも、お前がこれからどうなるかは分からない」と、桃太郎は言いました。「つまり、私を倒すということか?」と、鬼は言いました。「そういうことになるな」と、桃太郎は言いました。「最後に何か言い残すことはあるか?」と、桃太郎は言いました。「私を倒したところでまた別の鬼が現れるだけかもしれないぞ」と、鬼は言いました。「心配はいらない。鬼退治が目的じゃないからな」と、桃太郎は言いました。「どういう意味だ?」と、鬼は言いました。「俺は鬼ヶ島に巣食う鬼を全て倒すつもりだ」と、桃太郎は言いました。「そんなことできるわけがない」と、鬼は言いました。「可能不可能の問題ではない。これは使命だ」と、桃太郎は言いました。「お前……一体……?」と、鬼は言いました。「自己紹介がまだだったな」と、桃太郎は言いました。「俺の名前は桃太郎。平和と愛を司る戦士だ」と、桃太郎は言いました。「お前は何者なんだ?」と、猿彦は聞きました。「俺はエヘカトルの息子であり、女神の夢を見ることができる者だ」と、桃太郎は言いました。「そうなのか……」と、猿彦は言いました。「さあ、そろそろ終わりにしよう」と、桃太郎は言いました。「待ってくれ! 殺さないでくれ!」と、鬼は言いました。「安心しろ。殺しはしない」と、桃太郎は言いました。「ただし、二度と悪さをするんじゃないぞ」と、桃太郎は言いました。「分かった!」と、鬼は言いました。「よし、約束だ」と、桃太郎は言いました。そして、桃太郎は鬼を縛り上げました。「もうすぐ日が暮れる。急ぐぞ」と、桃太郎は言いました。「ああ」と、猿彦は言いました。「お爺さんとお婆さんに会いに行くのか?」と、鬼は言いました。「その通りだ」と、桃太郎は言いました。「お爺さんとお婆さんによろしく伝えてくれ」と、鬼は言いました。「自分で言えばいいじゃないか」と、桃太郎は言いました。「私はここを離れることができないんだ」と、鬼は言いました。「どうしてだ?」と、桃太郎は言いました。「実はこの家は呪われているんだ」と、鬼は言いました。「呪い……だと……⁉」と、桃太郎は言いました。「そう。私の両親を殺したのもきっと呪いに違いない」と、鬼は言いました。「詳しく聞かせろ」と、桃太郎は言いました。

鬼は昔々、まだ赤ん坊の頃のことを思い出していました。

ある夜、両親が何者かに殺されました。犯人は分かりませんが、とても強い人物だったことだけは確かです。

「私がこんな目にあうなんて……なんということだ……両親は死んだし、これからどうすれば……」と、鬼は呟きました。その時、どこからか声が聞こえました。「もしよかったら、僕の家に来るかい?」それは優しげな声でした。「誰だ⁉」と、鬼は叫びました。「僕はエヘカトル。君たち人間の言葉で言えば、太陽神かな」と、少年の声が言いました。「神様……⁉」と、鬼は言いました。「君の両親は僕の部下でもあるんだ。だから、放っておくことはできない」と、少年は言いました。「お願いします……私を助けてください……」と、鬼は言いました。「任せておいてよ」と、少年は言いました。こうして、鬼はエヘカトルに連れられて行くことにしました。

しばらく歩くと立派な屋敷が建っていました。「ここは……?」と、鬼は尋ねました。「僕の神殿だよ」と、少年は答えました。「えっと、君の名前は何て言うの?」と、少年は鬼に聞きました。「名前? 私に名前はないですよ」と、鬼は言いました。「そうなの……じゃあ、今から君は桃太郎だね」と、少年は言いました。「桃太郎?」と、鬼は聞き返しました。「そう。人間たちはそういう名前の男を探しているんだよ」と、少年は言いました。「そうですか……では、私はこれから桃太郎と名乗ることにします」と、鬼は言いました。「よろしくね、桃太郎」と、少年は言いました。それから、しばらくしてエヘカトルは鬼ヶ島へ向かいました。エヘカトルが去る時、「必ず戻ってくる」と、彼は言いました。しかし、いつまで経ってもエヘカトルは戻ってきませんでした。鬼ヶ島の鬼たちは毎日のように宴会を開いていましたが、エヘカトルの姿が見えなくなった途端に宴をやめてしまいました。

「エヘカトル様……一体どこに行ってしまったんだろう……」と、鬼の一人は呟きました。「さあな……」と、別の鬼は言いました。「まさかエヘカトル様に何かあったんじゃ……」と、誰かが言いました。「そんなわけないさ!」と、鬼は言いました。「きっとどこかで楽しく暮らしているに違いない」と、他の鬼も言いました。鬼たちがエヘカトルのことを思い出さなくなってから長い年月が経ちました。ある日のこと、鬼ヶ島に一人の男がやって来ました。「なんだあいつは?」と、鬼は言いました。男は桃色の着物を着ていて、刀を差していました。「怪しいやつだ! 捕まえろ!」と、鬼は言いました。「待ってくれ! 俺は桃太郎だ!」と、その人物は言いました。「桃太郎だと?」と、鬼は言いました。「ああ」と、桃太郎は言いました。「本当なのか?」と、鬼は桃太郎に尋ねました。「ああ。嘘じゃない」と、桃太郎は言いました。「信じられん……」と、鬼は言いました。「だが、もしも本物なら……」と、鬼の中の一人が言いました。「確かに……」と、鬼達は話し合いを始めました。「どうか信じてくれないか?」と、桃太郎は言いました。「そうだな……」と、鬼は言いました。「ならば、俺と戦ってくれ」と、鬼は言いました。「構わないぞ」と、桃太郎は言いました。

桃太郎は剣を抜きました。「おい、待てよ」と、鬼は言いました。「これは真剣勝負だ。邪魔しないでくれ」と、桃太郎は言いました。

「いや、あのな……」と、鬼は言いました。「俺は手加減するつもりだ」と、桃太郎は言いました。「それはどういう意味だ?」と、鬼は聞きました。「お前を殺すつもりはない」と、桃太郎は言いました。「なるほど……」と、鬼は言いました。「分かったよ」と、鬼は言いました。「本気で戦うよ」と、桃太郎は言いました。「そうか」と、鬼は言いました。桃太郎は鬼に向けて剣を振り下ろしました。しかし、鬼は軽々と避けました。桃太郎は続けて攻撃しましたが、全て避けられてしまいました。鬼は拳で反撃しました。しかし、桃太郎はそれを簡単に受け止めました。「やるな……だが」と、鬼は言いました。「こっちにも考えがある」と、桃太郎は言いました。すると、鬼は突然倒れてしまいました。「どうしたんだ⁉」と、桃太郎は叫びました。「力が……抜けていく……」と、鬼は言いました。「安心しろ……死ぬようなものではない」と、桃太郎は言いました。

しばらくすると、鬼は起き上がりました。「凄いな……負けたよ」と、鬼は言いました。「本当に強かったな……もう勝てる気がしないよ」と、他の鬼達も言いました。「俺の方こそ感謝している……ありがとう」と、桃太郎は言いました。こうして、桃太郎は鬼ヶ島の鬼たちと仲良くなりました。桃太郎は鬼たちから沢山の宝物を貰いました。その後、桃太郎は鬼ヶ島を後にして村に戻りました。

そして、それから長い年月が経ちました。桃太郎は立派な青年になりました。「さあ、出発するぞ!」と、桃太郎は言いました。

「えっ……どこへ行くの?」と、犬は尋ねました。「決まっているだろう……鬼ヶ島だよ」と、桃太郎は答えました。「本気かい?」と、猿は尋ねました。「もちろんさ!」と、桃太郎は言いました。「どうして急に?」と、雉は尋ねました。「鬼たちに会いたいんだ」と、桃太郎は言いました。「そう……」と、犬は言いました。「それなら、俺についてこい!」と、桃太郎は言いました。「でも、どこに行けばいいのか分かるの?」と、猿は尋ねました。「鬼ヶ島に決まってるじゃないか」と、桃太郎は言いました。「まさか……」と、雉は言いました。「そのまさかだ」と、桃太郎は言いました。

桃太郎は鬼ヶ島に向かいました。途中、沢山の悪い鬼や怪物が襲ってきましたが、桃太郎達はそれらを全て倒しながら進みました。

長い年月が経ちましたが、桃太郎達は疲れませんでした。ずっと歩き続けました。桃太郎は世界最強の戦士を目指していました。その為には沢山の戦闘経験が必要でした。桃太郎達は戦い続けました。やがて、桃太郎達は鬼ヶ島に辿り着きました。そこには、桃太郎が想像していたよりも遥かに恐ろしい光景がありました。

島には多くの鬼たちが住んでいましたが、皆、ボロボロの姿になっていました。食べ物はほとんど残っておらず、痩せ細っている鬼も少なくありませんでした。また、桃太郎が予想していなかった事がいくつかありました。まず、鬼たちの数が減っている事でした。桃太郎は、てっきり鬼たちは世界中に散らばっていて、全員が一緒に暮らしているのだと思っていました。しかし、実際には、一部の鬼だけが島に集まっているようでした。次に、鬼たちに暴力を振るう人間達がたくさんいました。

鬼は凶暴な生き物でした。しかし、人間は鬼よりもさらに狂暴で、容赦がありませんでした。桃太郎は人間の事が嫌いになりました。最後に、鬼たちの生活も良くありません。桃太郎は驚きました。何しろ、この島の食べ物は全て人間が奪っていったのですから。「許せない!」と、桃太郎は言いました。「これは正義の戦いだ!」と、桃太郎は叫びました。「俺が必ず助ける!」と、桃太郎は叫びました。桃太郎は一人で鬼ヶ島に乗り込みました。桃太郎は鬼を殺さず、人間だけをひたすら倒していきました。しかし、どれだけ人間を倒しても鬼が解放されるわけではありませんでした。鬼が救われるのはただ一つ、この世から全ての悪が消え去った時だけです。「俺はお前たちを助ける為に戦っているんだ!」と、桃太郎は叫びました。しかし、桃太郎の声が届くことはありませんでした。「くそっ!」と、桃太郎は呟きました。「俺は間違っていたのか?」と、桃太郎は考えました。その時です。突然、桃太郎の体が光に包まれました。そして、桃太郎の頭に女神の声が響きました。「私は太陽の女神である。桃太郎よ……お前は真の正義の心を持っているようだ。私は貴方に太陽の神の力を授けよう」桃太郎は光と共に、眩しい輝きを放ちました。すると、鬼たちもまた同じように輝いていきました。「俺達の力を合わせれば、きっと大丈夫だ!」と、桃太郎は叫びました。桃太郎の力が強くなりました。桃太郎は、ついに鬼たちを救い出すことに成功したのでした。

それから、鬼たちは幸せになりました。鬼たちは、桃太郎に感謝しました。「俺達を助けてくれてありがとう」と、鬼たちは言いました。「当然のことさ」と、桃太郎は言いました。「君達はもう自由なんだ」と、桃太郎は言いました。「自由に……?」と、鬼は尋ねました。「ああ……好きな所へ行くといい」と、桃太郎は言いました。「それなら……」と、鬼は言いました。「俺達の家を作ろう」と、鬼は言いました。「それはいい」と、桃太郎は言いました。「俺も手伝おう」と、鬼は言いました。「私も!」と、鬼は言いました。「もちろん、僕も!」と、鬼は言いました。「もちろん、俺も!」と、鬼は言いました。「それなら、みんなで家を作ろう」と、桃太郎は言いました。「うん!」と、鬼は言いました。「よし!行こう」と、桃太郎は言いました。「おーっ!」と、鬼達は言いました。桃太郎は鬼を連れて、鬼ヶ島を離れます。

鬼ヶ島を離れて少し経つと、桃太郎達は小さな村を見つけました。桃太郎達はその村に寄ってみる事にします。その村は小さく、誰も住んでいないようでした。「どうやら、無人の村のようだな……」と、桃太郎は言いました。「でも、誰かが住んでいるかもしれないわよ?」と、鬼は言いました。「そうだね……とりあえず、行ってみようか」「ええ」と、鬼は言いました。「そうしよう」と、桃太郎は言いました。桃太郎達が村に近付くと、何かが聞こえてきました。桃太郎は不思議に思いましたが、鬼たちは気付いていません。桃太郎は、耳を澄ませて音を聞き取ろうとします。

そこには音楽がありました。優しい音色の音楽がありました。美しく美しい音楽がありました。桃太郎は涙が出そうになるほど感動しました。音楽に心を動かされた桃太郎は、すぐに音楽を演奏している人に会いたいと思いました。桃太郎は鬼達に、あの音を奏でている人は誰なのか、どこにいるのか尋ねました。しかし、鬼達は知りませんでした。「じゃあ、探しに行きましょう!」と、鬼は言いました。「ああ、そうしよう」と、桃太郎は言いました。「俺も行くぜ!」と、鬼達は言いました。

桃太郎は鬼ヶ島を後にして世界中を旅しながら、音楽を演奏していた人物を探しました。桃太郎は疲れる事もなく元気でした。鬼達は疲れていましたが、桃太郎が頑張っていたので一緒に頑張りました。

長い旅の末に、桃太郎は遂に音楽の演奏者を見つける事ができました。演奏者は少年でした。桃太郎は少年に話しかけました。「俺は桃太郎だ。君は?」と、桃太郎は言いました。「僕は……音楽家だ」と、少年は答えました。「素晴らしい演奏だった。とても素晴らしかった。君のような素晴らしい人に会えて嬉しい」と、桃太郎は言いました。「それは良かった。貴方も素敵だ」と、少年は言いました。「俺の事を知っているのか?」と、桃太郎は尋ねました。「勿論だ。貴方は有名だから」と、少年は言いました。「俺が有名? 何故だ?」と、桃太郎は言いました。「その理由は僕には分からない」と、少年は言いました。「そうか……ところで、君の名前は何というんだ?」と、桃太郎は言いました。「僕の名前は……。すまない、名前を忘れてしまった」と、少年は言いました。「忘れただと……⁉」と、桃太郎は言いました。「そうなんだ」と、少年は言いました。「では、これから君をなんと呼べばいいのだ……?」と、桃太郎は言いました。「僕を呼ぶ時は〝演奏家〟と呼んでくれ」と、少年は言いました。「そんな……!」と、桃太郎は言いました。「大丈夫だよ」と、少年は言いました。「貴方が僕の事を心配してくれているのは分かる。でも、これは僕が決めたことだから」と、少年は言いました。「分かった」と、桃太郎は言いました。「俺に何かできることはないだろうか?」と、桃太郎は言いました。「そうだね……」と、少年は言いました。「何かないかな……」と、少年は考え込みました。すると、「そうだ! それなら……」と、少年は言いました。「それなら、僕のために歌を作ってくれないか?」と、少年は言いました。「俺が作るのか?」と、桃太郎は言いました。「うん! そうだよ! 作ってくれるかい?」と、少年は言いました。「わかった」と、桃太郎は言いました。そして、桃太郎は少年のための歌を作りました。

音楽家の少年

完成した歌を桃太郎は少年に渡しました。少年はとても喜びました。「ありがとう! 本当にありがとう! 大切にするね!」と、少年は言いました。「ああ」と、桃太郎は言いました。「また、いつか会いに来る」と、桃太郎は言いました。「うん! 待ってるよ!」と、少年は言いました。「それじゃあ、さようなら!」と、桃太郎は言って歩き出しました。鬼達は桃太郎の後ろを付いて行きました。

それから桃太郎達は世界中を旅して回りました。その途中、鬼達はどんどん強くなりました。鬼達は強くなって嬉しかったので、より沢山の人を殺し始めました。桃太郎達は気にしませんでした。

その内に桃太郎達は大きな国へ辿り着きました。そこにはお城がありました。お城の門の前に、とても強い鬼が住んでいました。鬼は桃太郎達を見ると襲いかかってきました。桃太郎達はそれを返り討ちにしました。鬼は死にました。

桃太郎達は鬼の持っていた剣でお城を乗っ取りました。そして、桃太郎達はこの国の王になりました。鬼達の王様です。桃太郎達は幸せに暮らしました。

(終)

(完)



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