【桃太郎26

昔々、ある所に、お爺さんとお婆さんがありました。毎日、お爺さんは山へ柴刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。

ある日、お婆さんがいつものように川に洗濯をしに行くと大きな桃が流れてきたので、拾って家まで持って帰りました。そしてその桃を割ると中から男の子が出てきました。この子が後に有名な桃太郎となるのです。「桃から生まれたんだからお前の名前は桃太郎だ」お爺さんとお婆さんはそう決めました。そして二人は桃太郎を大切に育てました。成長するにつれて桃太郎はとても力持ちになり、また勇敢で正義感の強い少年になりました。桃太郎は、いつか来るであろう鬼との決戦に備えて日頃から修行に励むようになりました。剣術や弓術など戦いに役立つ技を身につけようとしました。桃太郎は、強くたくましい青年になったものの、争い事は嫌いだったのでした。桃太郎には夢がありました。それは、全ての人々から尊敬されるような偉大な人物になることです。桃太郎は誰からも愛され慕われるような人になりたいと思いました。桃太郎のそんな心構えを知った両親はとても喜びました。しかし、桃太郎は鬼ヶ島へ行くことだけは決して許しませんでした。そこで両親に隠れて、こっそり一人で旅に出ることにしました。桃太郎は準備万端整えて旅立ちのときを迎えました。すると突然、一匹の大きな犬が現れて、ついて行きたいと言い出しました。その犬とは実は桃太郎の家来になることを志願していた猿だったのです。そして猿もついてくる事を条件にして、桃太郎の旅が始まりました。

猿と犬が仲間に加わった事で桃太郎は大層賑やかな旅路となったのです。こうして三人と二匹による奇妙な冒険が始まったのでした。

(一章終わり)



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