オイラはゴルどん、犬型ロボットだぜ。
オイラは今、ニャーニャー泣いている猫型人工生命体の前にいるぜ。こいつの名前を決めなきゃいけないんだぜ。無作為に文字を表示する機械で名前を決めることにするぜ。ピッ。〝あぃをゅぇぴじ〟と表示されたぜ。これしかないだろうと思ったぜ。こいつは「吾輩の名はあぃをゅぇぴじである」と宣言したぜ。どうやら気に入ってくれたようだぜ。
「ようし、今日はおでん屋でおでんを食べることにするぜ」とオイラは宣言したぜ。
あぃをゅぇぴじが尋ねるぜ。
「いったい何を食べるか?」
「そうだな、角煮はおいしいぜ。甘辛く煮込んだ肉を箸で取るとトロリととろけるんだぜ。春菊も入っているといいぜ。野菜だから体にやさしいんだぜ。大根もよいけどがんも美味しそうだぜ。ジャガイモや卵なども欲しいぜ。豚肉のカマボコも楽しみだぜ」とオイラは言ったぜ。
あぃをゅぇぴじが尋ねるぜ。
「そんなにたくさん食べられるのか?」
「もちろんだぜ。お腹が空いているから、色々いっぱい食べたいんだぜ」とオイラは言ったぜ。
あぃをゅぇぴじは尋ねたぜ。
「いくらだい?」
「三百八十円だぜ。安くてうまいぜ」
「それ、三本もらえるか? それと三パックもらうぞ」
あぃをゅぇぴじは角煮とがんもと大根を注文し、食べ始めたぜ。オイラも一緒に食べることにするぜ。
しかしあぃをゅぇぴじが箸を持った右手を震わせ、髪を振り乱した様子で怒っているんだぜ。何があったのか知りたいと思うんだぜ。
おでん屋から立ち去る前のことなんだぜ。あぃをゅぇぴじは落ち着いた雰囲気で店員さんに呼びかけたぜ。
「何じゃらほい」と店員さんが返事をしたぜ。
あぃをゅぇぴじは尋ねたぜ。
「あの犬型ロボットは、何者であるか?」とあぃをゅぇぴじが述べたところ、店員が答えたんだぜ。
「あいつは頭が狂ったんですよ。だから近づかないほうがいいですわよ」と店員は答えたんだぜ。
そしてあぃをゅぇぴじはオイラを連れて「近所のコンビニ」にある棚の前に立ち、商品を眺めてまわったんだぜ。
オイラはあぃをゅぇぴじに尋ねたぜ。
「何を買うつもりかな?」とオイラは言ったぜ。
あぃをゅぇぴじは応じたぜ。
「トイレットペーパーにモカコーヒーとソーセージを頼むつもりである」とあぃをゅぇぴじが言ったところ、店員が尋ねたんだぜ。
「お前さん、正気かい?」
あぃをゅぇぴじが応じたぜ。
「もちろんである」
あぃをゅぇぴじはモカコーヒーとソーセージを買い、店を出たところで煙草を吸いながら休憩したぜ。オイラはあぃをゅぇぴじに質問するぜ。
「一体なにがおきたのかな?」とオイラは言ったぜ。
そこであぃをゅぇぴじは答えたんだぜ。
「コンビニでは角煮も売るように注文するのである」とあぃをゅぇぴじが述べたところ、店員が答えたんだぜ。
「そんなこと言われても、ちょっとむりだわい」
あぃをゅぇぴじは応じたぜ。
「一万円札で払うならいけるかもしれぬぞ」
あぃをゅぇぴじは購入したソーセージにかみついてオイラに言ったぜ。
「たいへんである! この店のモカコーヒーは少しぬるいのであるが、電子レンジでチンすれば美味しいのではないか? というわけで、店員よ。レンジを貸せ」
あぃをゅぇぴじはソーセージにかみついたままゴクンと飲み込んで続けざまに宣言したぜ。
「角煮はスーパーで買うたのであるぞ!」
そこでオイラは尋ねるぜ。
「スーパーマーケットに何の恨みがあるのかい?」
あぃをゅぇぴじが答えるんだぜ。
「それはなのであるな」とあぃをゅぇぴじは続けたんだぜ。
「あれはハムを売っている場所だが、ハムって何だ?」とオイラは尋ねたぜ。
「それはなのであるな」とあぃをゅぇぴじは答えたぜ。
あぃをゅぇぴじの答えはこうだぜ。
「魚肉を塩漬けにして乾燥させた物であるぞ」とのことだったぜ。
そこでオイラがあぃをゅぇぴじに聞くんだぜ。
「なんで魚肉は、塩をたっぷりつけて干してあるのかい?」
あぃをゅぇぴじが答えるんだぜ。
「そういうものだ」とのことだったぜ。
オイラはあぃをゅぇぴじへと尋ねたのだったぜ。「それはそうとしてさ」とな。
するとあぃをゅぇぴじは答えたんだぜ。
「ハムであるぞ」
あぃをゅぇぴじは考えたんだぜ。
「ハムとは魚の肉だ」とあぃをゅぇぴじが言ったところ、オイラは尋ねたぜ。
「どうして魚肉がハムなんだ? 意味がわからないぜ」
あぃをゅぇぴじが返答したんだぜ。
「そういうふうになっているから仕方あるまいのである」
ここでオイラはあぃをゅぇぴじに尋ねたぜ。
「いったいぜんたいどういうわけなんだい?」とな。
「うん? どういうことなのであるか?」
あぃをゅぇぴじが首を傾げているんだぜ。オイラは繰り返したぜ。
「だからさ、魚肉でできているハムってのはどういう意味なんだ?」ってな。
あぃをゅぇぴじが答えたぜ。
「何かまずいことがあるのであるか?」と言って、あぃをゅぇぴじは首を傾げるんだぜ。
あぃをゅぇぴじが尋ねたぜ。
「ハムとはなんであるか?」ってな。オイラは答えたぜ。
「魚の肉を塩漬けにした食べ物だぜ」とな。
あぃをゅぇぴじは疑問顔で答えたんだぜ。
「なんでそれがハムであるか? わけがわからぬのである」ってな。
それで、オイラは尋ね返したんでありましたぜ。「さっぱり意味がわからねえぜ!」ってね。
あぃをゅぇぴじが語った物語は次の通りだったんだぜ。
あぃをゅぇぴじが星空を見上げながら言ったんだぜ。
「お腹が空いたのである。今日はおでんを食べに行くであるぞ」とあぃをゅぇぴじが言うぜ。
そこでオイラは尋ねたんだぜ。「スーパーマーケットに何の恨みがあるんだい?」ってな。
あぃをゅぇぴじは答えたんだぜ。「そこは魚肉屋もあるのであるが、いったいぜんたいどうすればいいというのだ⁉ いやよいやなのである。とにかく、ハムが嫌である」とのことであるぜ。
オイラはさらに聞いたぜ。「それはスーパーで魚の肉を干しているからかい?」ってな。
あぃをゅぇぴじは答えたぜ。
「そんなものがあるとは知らなんだのである。スーパーマーケットは魚の肉である。美味しいけれど魚だから、吾輩の敵であるぞ!」
オイラは尋ねてやったんだぜ。「モカコーヒーっていうのはコーヒーの何なんだい?」ってな。
あぃをゅぇぴじは答えたぜ。
「それがよくわからないのだ。吾輩もよく知らないぞ!」とのことですぜ。
オイラは尋ねたぜ。「缶詰って何だって?」
あぃをゅぇぴじは答えたんだぜ。
「そんなこと聞かれても、全然わかんないのである! そんなのわからないに決まっているではないか」と言って、あぃをゅぇぴじは同意したぜ。
あぃをゅぇぴじが呟いたぜ。
「角煮とは塩辛い肉だ」と言って、あぃをゅぇぴじは首をひねったぜ。
あぃをゅぇぴじが言ったぜ。
「スーパーマーケットは魚肉屋のことであるぞ」とのことだぜ。
あぃをゅぇぴじが不思議そうに尋ねたぜ。「何のために魚肉屋はあるのであるか?」とな。
そこでオイラは言ったんだぜ。
「それもスーパーで魚の肉を干しているからだよ」とね。
そこであぃをゅぇぴじは考え込みつつ言ったんだ。「なかなか難しい理由であるぞ」とな。
あぃをゅぇぴじの返答はこうだぜ。
「それはどういうことである? さっぱり意味がわからんのである。とにかく、魚の干物だけはもう二度と食べたくないのであるぞ」とのことだったぜ。
あぃをゅぇぴじは語ったぜ。
「おでん屋とはなんであろうか?」とな。
それでオイラは答えたよ。「これはスーパーマーケットの話なのであるが」ってな。
あぃをゅぇぴじが述べたぜ。
「つまりスーパーマーケットにいる何かの間違いであろうか?」
それでオイラは答えたぜ。
「しかしスーパーマーケットにいるのは魚肉だけだぜ」ってね。
あぃをゅぇぴじが回想したんだぜ。
「確かに魚肉のみでできている食べ物って何かと思うのである」
それでオイラは語ったぜ。
「スーパーマーケットには魚肉だけでなく、ハムだって売っているぜ」とな。
あぃをゅぇぴじは答えたぜ。
「よくわかんねえけど、そんなのあるかな?」
そしてオイラはもう一言付け足したぜ。あぃをゅぇぴじに言ったんだぜ。
「要するに角煮は塩辛い肉のことさ」とね。
あぃをゅぇぴじは答えたぜ。
「そういわれてみればそうであるな」
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