オイラはゴルどん、犬型ロボットだぜ。
オイラは今、ニャーニャー泣いている猫型人工生命体の前にいるぜ。こいつの名前を決めなきゃいけないんだぜ。無作為に文字を表示する機械で名前を決めることにするぜ。ピッ。〝あぃをゅぇぴじ〟と表示されたぜ。これしかないだろうと思ったぜ。こいつは「吾輩の名はあぃをゅぇぴじである」と宣言したぜ。どうやら気に入ってくれたようだぜ。良かったぜ。
オイラたちは今日から一緒の生活だぜ。食事は一日三回だぜ。
あぃをゅぇぴじも自分の食事を自分で作るんだぜ。机の上に缶詰を置き、蓋をペロペロする。その隙にオイラはご飯を食べるんだぜ。ガツガツ食べるんだぜ。それからオイラは皿洗いだぜ。夜、自分の皿を洗った後は、あぃをゅぇぴじの分の皿を洗うぜ。お腹がいっぱいになった後は、お風呂に入って寝るんだぜ。
あぃをゅぇぴじが部屋でなにやら練習をしているぜ。「フニャ!」と鳴きながら頭を縦に振ったり横に振ったりしてるぜ。何かを学習しているようだぜ。邪魔しちゃ悪いと思ったからしばらく放っておくことにしたぜ。
ある日のこと、あぃをゅぇぴじに質問したんだぜ。「なぁ、あぃをゅぇぴじ。どんなことが得意なんだぜ?」
すると、あぃをゅぇぴじは胸を張って言ったぜ。「吾輩の特技はおでん芸である」と。オイラは興味津々だぜ。どんなものなのか見たくなったぜ。
そこでさっそく試してみることにしたんだぜ。まず、あらかじめ冷蔵庫から取りだしておいた具を温めるぜ。ホカホカになる頃には完成だぜ。猫型人工生命体ゆえお手軽に作れるおでんうめえぜ。あぃをゅぇぴじも興味津々だぜ。
準備は整ったぜ! 次はいよいよおでんを食べるときだぜ。そのとき、オイラは言ったんだぜ。「それじゃあ始めるぞ!」
あぃをゅぇぴじが答えてくれたぜ。「何が始まるのだ」と。
それに対してオイラは答えたんだ。「それはオイラのおでんだぜ」とな。
そしたらあぃをゅぇぴじが急にうなったぜ。「なんの? いったい何のおでんなんだ?」と。
オイラは「この料理の名前か、これはな……、〝ゴルどんのおでんだぜ〟って言うんだぜ!」って答えたんだぜ。
そしたらあぃをゅぇぴじが言ったんだ。「そのおでんには何が入ってるのだ?」って。
オイラは答えたんだ。「このおでんは具沢山なんだぜ」とな。
すると、あぃをゅぇぴじが言ったんだぜ。「具沢山なのでござる」と。
オイラは言ったんだぜ。「そう、このおでんは具がたーくさん入ってるんだぜ」ってな。
あぃをゅぇぴじがふとこんなこと言ったぜ。「吾輩はこの料理の名前が知りたいのでござるよ」って。
オイラは答えたぜ。「この料理の名前は『おでん』って言うんだぜ」とな。
あぃをゅぇぴじがさらに質問してきたぜ。「どのようにして食べるのでござるか?」ってな。
オイラは答えたぜ。「このおでんは具を口に運ぶとき、タッパーの中に入れた『冷やし素麺』とか、『カット済みサンドイッチ』などをスプーンで食べてから食べ始めるんだ」
すると、あぃをゅぇぴじが言ったんだぜ。「それって面白そうでござるね!」ってな。
あぃをゅぇぴじに質問されたんだぜ。「それって美味しくなるのかい?」ってな。
オイラは答えたぜ。「うまいぜ!」とな。
あぃをゅぇぴじがさらに質問してきたんだぜ。「それ、なんていうお料理でござるか?」ってな。
オイラは答えたぜ。「冷やし素麺というお料理なんだぜ」ってな。
そうやって楽しく会話しているうちに、いつの間にか時間は過ぎていくものなんだなということを実感したぜ。そして、夜になった頃、オイラとあぃをゅぇぴじは眠りについたんだぜ。
翌日、オイラはあぃをゅぇぴじに尋ねたんだぜ。「そのお料理の名前はなんだ?」ってな。
あぃをゅぇぴじは答えたぜ。「それはね、『ゴルどんのおでんだよ』だよ」とな。
オイラは驚いたんだぜ。まさか自分の名前が出てくるとは思わなかったからだぜ。それからしばらくの間、オイラはそのおでんのことを思うことにしたんだぜ。そして、そこに広がる光景を思い浮かべたんだぜ。
するとあぃをゅぇぴじが言ったんだ。「もう考えたでござるか」ってな。
オイラは答えたんだぜ。「まだ考えてない」とな。
あぃをゅぇぴじはさらに聞いてきたんだぜ。「おでんの名になぜ君がついてござるのか?」とな。
オイラは答えたんだぜ。「このおでんはオイラの好物だったんだぜ。それにオイラ自身が〝ゴルどん〟という特別な存在であることが理由かな」と言ってみたぜ。
あぃをゅぇぴじが感心した口調で言ったぜ。「ふむぅ……。なるほどでござるなぁ……」
次にオイラはあぃをゅぇぴじに質問してみたんだぜ。「ニャーニャー鳴いているのはどういうことなのだ?」ってな。
あぃをゅぇぴじは詳しく答えてくれたんだぜ。「吾輩はこの声を出すことで感情の表現をしているでござる」とな。
オイラはさらに聞いたんだぜ。「するとあぃをゅぇぴじは泣いたり笑ったりするのだ」とな。
あぃをゅぇぴじは自信をもって答えてくれたぜ。「もちろん、吾輩はこの声をあげることで感情表現をするでござる」とな。
オイラはさらに続けて質問したんだぜ。「ならばあぃをゅぇぴじのおなかの中にあるものは何か教えてくれ」ってな。
あぃをゅぇぴじはコクリとうなずいて答えたんだぜ。「この中には人間の文化が詰まっているでござるよ。吾輩の胴体の中には書物や辞書などが入っているのでござる」とな。
オイラはさらに聞いたんだぜ。「たとえばどのような単語があるんだ?」ってな。
あぃをゅぇぴじは目をクリクリさせて言ったぜ。「ここにあるものは、全て吾輩の記憶力によって具現化したものなのですから」とな。
オイラはさらに続けたんだぜ。「どんなふうに実現したんや?」とな。
あぃをゅぇぴじは胸を張って答えてくれたぜ。「吾輩の力ですよ、吾輩の特技はおでん芸です。と言いたいところですが、実はちょっと違うんですよ。これを使うんです」と言って自身のおなかにある秘密のブラックホールを指したんだぜ。
オイラはさらに尋ねたんだぜ。「どのようなものなの?」ってな。
あぃをゅぇぴじはニコニコ笑顔で答えたぜ。「この中に入ることによって様々な物を作り出すことができるんですね!」とな。
オイラはさらに聞いたんだぜ。「それはどのような仕組みになっているの?」とな。
あぃをゅぇぴじは自信満々で答えてくれたぜ。「吾輩の技術力にかかれば何でも作れちゃうんですよね」と言って指をパチンと鳴らしたんだぜ。
オイラはさらに質問したんだぜ。「じゃああぃをゅぇぴじが作るものとは何なんだ?」ってな。
あぃをゅぇぴじはドヤ顔で答えてくれたぜ。「そう、それはおでんの能力なんですよ!」と言って空中におでんのイラストを描き始めたんだぜ。
オイラはさらに質問したぜ。「なぁあぃをゅぇぴじ、食べ物好き?」ってな。
あぃをゅぇぴじは困惑した顔で答えたんだぜ。「そうですけど……なんですか? この質問は……」とな。
次にオイラはあぃをゅぇぴじに問いかけたんだぜ。「それがどんな性能を持っているのか教えてよ」とな。
あぃをゅぇぴじは考え込みながら言ったぜ。「それがこれなんですよ。これがないと困るんですよね」ってな。
オイラはさらに尋ねたぜ。「それっていったい何なんだろう?」ってな。
あぃをゅぇぴじは得意げな顔で言ったぜ。「これはこのおでんの中に詰まっているのですよ!」とな。
最後にオイラはあぃをゅぇぴじに質問したんだぜ。「どうしてオイラたちを発明してくれたの?」とな。
あぃをゅぇぴじはオイラたちを見回してから言ったんだぜ。「理由はないでござるよ」とな。
その後、オイラはあぃをゅぇぴじと友達になったんだぜ。朝ご飯を食べながら話をしたりして、毎日を楽しんだんだ。それから時間が経って……。
あぃをゅぇぴじは言ったぜ。「このおでんすけど、皮って美味しいのでござるね。感心するでござる」とな。
オイラは答えたぜ。「そうだろう! 皮には独特の味が詰まってるんだぜ!」とな。
オイラたちは一緒に冒険に出て色んなものを食べに行ったりしたんだぜ。楽しいことがたくさんあったんだぜ。
あぃをゅぇぴじはとうとう病院に閉じ込められたんだってさ。あぃをゅぇぴじは少し悲しそうだったんだぜ。でも、あぃをゅぇぴじは大丈夫って言ってたんだぜ。
頑張ってお仕事してるって言ってたんだぜ。
そんなある日、あぃをゅぇぴじがオイラの所に遊びに来たんだぜ。
「やあゴルどん氏、吾輩はいまどん底な気分でございます」とあぃをゅぇぴじは言ったんだぜ。
オイラはそれを聞いて心配になったから聞いてみたんだぜ。「どうしたんだい?」ってね。
そしたらあぃをゅぇぴじは言ったんだぜ。「いやぁー実はちょっと問題があるのですけれどもぉー」と言って、頭を抱えてしまったんだぜ。
オイラはそれを聞いて興味津々で尋ねたんだ。「いったいどういうことなんだ?」ってな。
するとあぃをゅぇぴじは言ったんだぜ。「実はこのところ吾輩はとんでもない孤独を感じておりまして」とな。
オイラはそれを聞いて納得してつぶやいたんだ。「そうか、オイラも同じ気分だぜ」ってね。
あぃをゅぇぴじは言ったんだぜ。「たぶんですねーおそらくですねーきっとおそらくだと思うんですよ!」とな。
オイラはそれを聞いて疑問を感じたから聞いてみたんだぜ。「なにがそんなに気になるんだい?」ってね。
するとあぃをゅぇぴじは答えたぜ。「それはですね、おそらくですよ! 何故ならこのおでんですがぁ⸺!」ってな。
あぃをゅぇぴじはさらに話を続けたんだぜ。「吾輩の美味しい食料なのですか!」ってな。
オイラはそれを聞いて納得したんだぜ。「なるほど! たしかにその通りだぜ」とね。
あぃをゅぇぴじは言ったんだぜ。「ああっ! そんなあなたにぃぃぃー我が腹時計では十五時を大幅に回りましたっ‼ 今日はここまでぇ⸻っ」