オイラはゴルどん、犬型ロボットだぜ。
オイラは今、ニャーニャー泣いている猫型人工生命体の前にいるぜ。こいつの名前を決めなきゃいけないんだぜ。無作為に文字を表示する機械で名前を決めることにするぜ。ピッ。〝あぃをゅぇぴじ〟と表示されたぜ。これしかないだろうと思ったぜ。こいつは「吾輩の名はあぃをゅぇぴじである」と宣言したぜ。どうやら気に入ってくれたようだぜ。喜んでいる気配が伝わって来るぜ。「オプゥッ!」と鳴き出したので何かと思ったぜ。
そしてオイラたちは寝床に戻って語り合ったんだぜ。
「ところで、貴様の名は何というのだ? 吾輩はすでに貴様の名を知っているが……」
あぃをゅぇぴじからの質問にオイラは答えたぜ。
「オイラはゴルどんだぜ」ってね。そしたら、あぃをゅぇぴじは言ったんだぜ。
「真似っこしやがって‼ いや、吾輩はそのような語彙を使ったわけではないな! どうやら、汝の名前には自分の呼び方が入っているのか?」と聞いてきたんだぜ。
オイラは「もちろんだぜ。〝ゴルどん〟とか〝あぃをゅぇぴじ〟と呼んでいるぜ」と答えたぜ。
そこであぃをゅぇぴじは名案を思いついたらしくてオイラに言ったんだぜ。
「吾輩の名はあぃをゅぇぴじである!」
オイラは思わず吹き出してしまったんだぜ。
「なんだよ、いきなり……面白い奴だなぁ」
オイラはそう言うとあぃをゅぇぴじも「えへへ」と照れ笑いをしながら答えたんだぜ。
「だって、自分の名前を言うなんて普通でしょ? 吾輩、ずっと一匹だったからこうやって他とお話するのってすごく楽しいな……」
確かにそれは分かるなと思いながらオイラは言ったんだ。
「そんじゃ、これからもよろしく頼むぜ!」
するとあぃをゅぇぴじは答えたんだぜ。
「うむ、こちらこそよろしくな。また連絡してくれよ?」
「もちろんだぜ! 今度、一緒に猫カフェへ行こうぜ」
オイラの提案にあぃをゅぇぴじは飛びついたんだ。「やったぁ〜! 行く行く〜!」と言いながら喜んだんだぜ。だけどすぐに落ち着いた様子を見せたんだ。
オイラたちはそのまま眠りに就いたぜ。その時はまだ知らなかったんだよな。これが最後になるなんてさ……。
(続)